2017-05

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ブラジルから来た少年 - 2017.02.23 Thu

「ブラジルから来た少年」
(1978/THE BOYS FROM BRAZIL)


ブラジルから来た少年 [DVD]
ローレンス・オリヴィエ
東北新社
2004-01-23



顔のないヒトラーたち」で、主人公ヨハンが執着していた Dr.ヨーゼフ・メンゲレ。 ってことで、メンゲレつながりでひとつ。
1976年に発表された、アイラ・レヴィン(「ローズマリーの赤ちゃん」)の同名小説の映画化。
監督フランクリン・J・シャフナー(「猿の惑星」)


パラグアイでメンゲレを追っていたナチスハンターの若者がある計画を知る。
メンゲレがナチス会に語った計画とは奇妙なものだった。

「2年半の間に94人の男を殺す」

男たちはユダヤ人ではなく65歳の普通の公務員。
氏名はすべて特定されており、西ドイツ、イギリス、アメリカなど数か国に散らばっていた。
若者はこの計画をウィーンにいる高名なナチスハンター、リーバーマンに情報提供するが殺される。
メンゲレの元に集まったナチス会のメンバーは、メンゲレの命令を忠実に実行して行く――

brazil01.jpg



おもしろかった~~~!!!

この計画は何を意味するのか全くわからない。
観客もわからないけれど、ナチス会のメンバーも何も知らされない。
”忠実な犬”は命令に従うだけだが、中には計画に意味を見出せず不満を持つ者もいる。
訳が分からずもやもやと見て行くと、話は意外な方向に展開するんだよね。

brazil03.jpg


実際に各地で、65歳の公務員が事故死する事件が次々と起きる。
死亡した男の家をリーバーマンが訪ねて行くと、どの家にも双子のように同じ顔の男の子がいるのだった。
顔が似ているばかりか、どの子も同じような性格。
傲慢で人を見下す態度。利口だけど怠け者。口が達者。いや~~なかんじ。

この男の子たちが、顔は同じなんだけど、”映画的に”着ている服でそれぞれの土地のカラーを出してるとこがちょっと笑える。
西ドイツのコは、チロル風ジャケットにニッカボッカみたいなズボンはいてて、イギリスのコは、パブリックスクール風ブレザー。
最後に出て来るアメリカのコは、チェックのフランネルシャツw

↓このコはチロル風少年!
brazil04.jpg



調査を進める内、彼らは14年前ある養子あっせん会社を通して、”ブラジルから来た少年”であることがわかる。


(以下ネタバレ含む)



14年前メンゲレはブラジルでクローン研究をしていた。
ヒトラーは生涯自分のこどもを持たなかったけれど、自分のクローンの誕生には興味を示していて、メンゲレは生前ヒトラーの血液と細胞を取っていたのね。
で、メンゲレは次々にクローンベイビーを誕生させ、世界各国に送り出した。
その際にメンゲレは養い親に条件を付けた。

父親は公務員で52歳、母親は29歳。それはヒトラーが生まれた時と同じ。
なぜ今回その父親を殺すことにしたかというと、ヒトラー自身が14歳の時、税官吏(=公務員)の父が65歳で死んだから。
”偉大なこども”を養育したという役割を果たした今消え去るべき。
常人には理解しがたい”狂人”のこだわり。うーむ

ここで観客は疑問を持つ。
いくら同じDNAを持っていても、育った環境で人の性格は変わるのでは?
映画の中で答えを用意してある。
リーバーマンはある生物研究所に行きそのことを博士にたずねる。→ 博士はブルーノ・ガンツ!
「双子の場合それはあり得るが、クローンなら環境に左右されない」
この説が現代にどれだけ通用するかはわからないけど、とにかく見ていて空恐ろしい。

リーバーマンは14年前養子をもらった、アメリカ、ニュープロビデンスの家をを訪ねる。
そこで先回りしたメンゲレと対決する――

史実では、メンゲレは追っ手から生き延びて、ブラジルで海水浴中に亡くなるとわかってる。
さて、ここでは史実に忠実に描くのかどうか??
そして、世界中に散らばった“少年たち”はどうなるのか?

リーバーマンは少年たちのリストを手に入れる。
別のナチスハンターは少年たちを抹殺する為リストを渡すように言う。
リーバーマンはどうするのか?
少年たちは殺されるべきなのか?

アイラ・レヴィン、「ローズマリーの赤ちゃん」からの~“悪の種子”、“悪魔の赤ちゃん”モチーフなんだね。

俳優陣ツートップは、グレゴリー・ペックとサー・ローレンス・オリヴィエ!
サーの演技、見応えあり。
その他の俳優陣も名優ぞろい。
ジェイムズ・メイソンはナチス会の幹部。山奥にグッチのバッグを抱えて来る、イヤミなエリート臭の表現もよく考えられてるネ。
他、デンホルム・エリオット(「眺めのいい部屋」)など。

最初に殺されちゃうナチスハンターの若者はスティーヴ・グッテンバーグ なつかすぃ~~
brazil02.jpg

グレゴリー・ペックが悪役って珍しいな、どれどれ、どんな悪役っぷりかな、と見たけれど、これミスキャストだと思う。
“狂気”のメンゲレ・・・ペックは狂気の対極にある人。演技力をもってしても違和感があった。(ガタイもよすぎる。191cm)


とはいえ、フランクリン・J・シャフナー監督、優れたエンターテインメント作品に仕上げた。
撮影:アンリ・ドカエ 「太陽がいっぱい」「死刑台のエレベーター」
音楽:ジェリー・ゴールドスミス 「チャイナタウン」「LAコンフィデンシャル」(「オーメン」(’76)でアカデミー賞受賞)

関連記事:
↓ヨーゼフ・メンゲレについて詳しく知ったのはこの本でした
アウシュヴィッツの囚人写真家
顔のないヒトラーたち
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● COMMENT ●

と~っても昔、TVで見ました。淀川さんの日曜映画劇場だったかも。今でもはっきりタイトルを覚えているということは当時の私にとってすごく面白い映画だったのでしょう。グレゴリー・ペックが殺されそうになったところで、意外な?人物が犬を使って助けるんだったよね。

■アラスカさん

> と~っても昔、TVで見ました。淀川さんの日曜映画劇場だったかも。
淀川さんの実績大ですね~
>今でもはっきりタイトルを覚えているということは当時の私にとってすごく面白い映画だったのでしょう。
とにかく引き込まれる映画なんだよねえ。
>グレゴリー・ペックが殺されそうになったところで、意外な?人物が犬を使って助けるんだったよね。
くわしいあらすじはwikiにあるよ~~
あんなに崇拝し自分が生み出した悪の種子にやられてしまうという皮肉。
ところでこの時から時代は進み、クローン研究ってのは今どうなっているのかよくわかんないんだけど。
この時は、実際は「夢の研究」みたいな位置づけだったんだろうね。
劇中では否定していたけど、私はやっぱり同じDNAでも育った環境で人は変わると思ってる。
ヒトラーのDNAだって、先天的なものじゃない、後天的なものがあるだろうし、少年たち全てがあの人格になるとは思えないんです。いい子の少年もいると信じたい。フィクションだけど。

追伸
 >スティーヴ・グッテンバーグ なつかすぃ
誰だっけ?とwiki見たら、ポリスアカデミーのマホニー君か!。ホントに懐かしいわ~。
そしてやっぱり後天的なものは大きいと思います。先天的で全てが決められちゃったら、子育てするのむなしくなっちゃうよ。

■アラスカさん

>スティーヴ・グッテンバーグ なつかすぃ
典型的ヤンキー青年ってかんじだったけど、いつの間にか見なくなったよねえ。
と言いながら、Imdbチェック~!
コンスタントに仕事はしているようです。
(不謹慎ながら安否確認兼ねて)
> そしてやっぱり後天的なものは大きいと思います。先天的で全てが決められちゃったら、子育てするのむなしくなっちゃうよ。
ほんとだほんとだ!
それにしても、専門研究でもないドクターが、94人ものクローンベイビーを生み出すってかなり荒唐無稽な話だよねえ。
でもそんなこと関係なく楽しめちゃう映画でした。


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