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ラスト、コーション 色・戒 - 2008.03.15 Sat

「ラスト、コーション 色・戒」 張愛玲 (アイリーン・チャン)

ラスト、コーション 色・戒 (集英社文庫 チ 5-1) (集英社文庫 チ 5-1)ラスト、コーション 色・戒 (集英社文庫 チ 5-1) (集英社文庫 チ 5-1)
(2007/12/14)
アイリーン・チャン

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1942年、日本占領下の上海。
抗日運動に身を投じる美しき女スパイ・王佳芝は日本軍傀儡政権のスパイのボス・易に近づき、暗殺の機会をうかがっていた。
危険な逢瀬を重ねるうちに二人は、死と隣り合わせの日常から逃れるように、暴力的なまでに激しく互いを求め合う。時代の大きなうねりの中で、スリリングな愛と二人の運命は……。
2007年ヴェネツィア国際映画祭グランプリ受賞映画原作。


文庫 44ページの短編小説。
短い。
これをあの長尺映画の脚本にするって、すごい  妄想力  いえ  創造力 ね。
→ 脚色 : ワン・フィリン ジェイムズ・シェイマス (この人は、<BBマウンテン>のプロデューサーだったのね)


以下、映画との比較をまじえた感想です。

尚、「色・戒」 は、「いろ・いましめ」 と読ませるのです。 




原作は淡々と描かれる。
もちろん、アクロバティックなセックスシーンなどかけらもなく、いろっぽいシーンすらない。
又、王佳芝(ワンジアジー 小説ではこう表記されている)のキャラクターが、小説と映画では、ずいぶん違うように思う。

映画のワンは、口数少なく、内に秘めた強さを感じさせるが、原作のワンは、いささか蓮っ葉で、ドライな女に見える。

たとえばこんな件がある。
香港にて、ワンの相手をするのがリャンに決まった場面:

――よりにもよって 梁閏生とは!
   死ぬ覚悟を決めたからには、彼にいい思いをさせるのは納得できない
   などと言ってはならないのだ。

ほんとのワンはそんなこと考えていたのか!?
笑っちゃいました。 原作のワンはずっと人間くさい。

その後、計画が頓挫した場面:

――「私は馬鹿よ。なんと言っても、馬鹿なのは私よ」
   と、佳芝はひとりごちた。


なんだ、やっぱりそういうこと考えてたのか(笑)

原作の易の風貌が、トニー・レオンのそれにぴったりだったよ。

<ブロークバック・マウンテン>の時もそうだったが、長尺の映画の方が饒舌であるはずなのに、この短い小説を読んで初めて、ああ、そういうことかと、合点がいくことが多々あった。
思うに映画というのは、監督によっては、説明的ショットを嫌う場合がある。
ちょっとした小道具のアップや、役者の表情で表現しようとする。
なので、時に観客に分かりづらかったりするのだが(そこが映画の奥深いところでもある)、その点小説は、心の中も文字になっているので分かりやすいのではないか。
もっとも、<ブロークバック・マウンテン>の場合は、小説の方が説明的表現を嫌っていた為、映画と小説、互いが補完し合っていたように思う。

原作の二人は思っていた以上に饒舌であった。
二人が互いをどう思っているのか? 
(映画では寡黙なので分かりづらいのだが)

――実を言うと、佳芝は易と一緒にいると、いつも熱いお風呂に入ったような感じになって、
   すべての憂うつが洗い流されるように思えた。


ほえ~、そんなこと思っていたんだ。 張愛玲らしい一文だが。

映画ではこういった互いの胸の内は、性愛を通してぶつけ合い、探り合っていたのだ。


宝石店にて:

――今、易は佳芝を見ていない。その微笑みには少し哀愁が混じっていた。
   ・・・(中略)
   彼の横顔にランプの明かりが当たっている。
   佳芝はそこに優しく慈しむような表情を見て取っていた。


このシーンは、はっきり目に浮かぶ。
この微笑みを、トニー・レオンは完璧な演技で表現していた。
せつなくなるような微笑みだった。
そうか、この微笑みが、物語のターニング・ポイントだったのか。

短いながら、味わい深い小説だった。
映画と一緒に是非一読をお勧めする。

他に、「愛ゆえに」「浮き草」「お久しぶり」収録。

――「色」 は仏教用語で 「欲情」 ですが、私は人生そのもの、生きる上での感情という意味
   に解釈しています。 
   又、中国語で 指輪 を、「指戒」 と言いますが、「戒」 には 「誓い」の意味もあります。
   原作者は非常にうまいと思うのですが、「カンマ(、)」を挟むことで、
   「自己の欲を戒めなさい」 という意味に、違う意味合いを加えています。
   欲情と、ヒロインの正義の誓いとを並列させ、さらに物語の鍵である指輪とかけて
   いるのです。
   (文庫 帯 李安のインタビューより)

なんかむずかしいこと言うなあ、李安。
そこまで感じてもらって、張愛玲は幸せだな。


張愛玲(アイリーン・チャン)は、1920年、上海の名門の家庭に生まれた。
父方の祖父は、清末の名官吏で、祖母は日清戦争終結に際して、清国側全権として 
『日清講和条約』 に調印した李鴻章の三女。
台湾・香港では、若い女性を中心に絶大な人気を誇る。



eileen.jpg

   
彼女の著作リストを見ていたら、「傾城の恋」が・・・。
へぇ~、これ彼女の作品だったのか。
そういえば、舞台は上海だったような・・・(って、例によって、うろおぼえだけど・・・)


傾城の恋傾城の恋
(2004/04/01)
チョウ・ユンファ、コラ・ミャオ 他

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ヒロインを演じた コラ・ミャオは、この後、ウェイン・ワン監督(<スモーク>(’95))と
結婚してアメリカに行っちゃったんだよね。


SMOKESMOKE
(2005/03/02)
ハーヴェイ・カイテル、ウィリアム・ハート 他

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これも、ウェイン・ワン作品だったか。

ここよりどこかでここよりどこかで
(2007/12/21)
スーザン・サランドン

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<チャイニーズ・ボックス>(’97) もそうだったか! ジェレ☆ラブ 

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