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どこに行くの? - 2008.03.18 Tue

「どこに行くの?」(2007)

どこ06


鋳造工場で働く孤児院育ちのアキラは、長年親代わりである工場の社長から性的虐待を受けてきた。
そのせいか人に心を開くことができず、工場の外では、福田の相手をして小遣い稼ぎをする鬱屈とした日々を送っていた。
そんなある日、彼は香里と知り合う。
何も言わずに優しく自分を受け入れてくれる彼女に惹かれ、アキラは次第に心を開いていくが・・・・・・

養父からの性的虐待がトラウマになった青年とニューハーフが出会い、互いに初めて知った優しい想い。
アキラと運命の恋に落ちる香里役には新宿で人気のニューハーフあんずが抜てきされた。
不運がさらに大きな災厄を招き、落ちていく孤独な2人の男の魂の結びつきがひりひりと胸にしみる。
(シネマトゥデイ)



恥ずかしながら、松井良彦監督を知らなかった。

彼に関する情報を見ると、なんだかすごい。(→ 後述)
これは見ておかないといかんだろ、と行ってみた。

21:10 @渋谷ユーロスペース レイトショー
観終わった時の感想は、

・・・
・・・

ヘンな映画見ちゃったなあ・・・
というものだった。

これブログにUPして、間違って興味持って見に行っちゃう人が出たら困るなあ、
とか考えていたのだが、時間が経つにつれ、違う感慨が湧いてきた。

冒頭、工場のシーンに続いて、カラオケボックスのシーン。
くたびれてて尊大な態度のオヤジが座っている。
オヤジはベルトを外し、大股広げ、そこにアキラくん登場、
アキラくんは、オヤジの大股の間にひざまずき・・・(以下自粛・・・)

ここでいきなり、やられた~!!感 いっぱい。

――アキラくん、又会おう。
―― ・・・
   福田さん、しつこいから・・・


と、渋るアキラくんに、むりくり次の約束をし、金を渡す福田さん。
いくら次の予約込みとはいえ、この程度の奉仕で5万もせびられてる福田さんは、アキラくんに メロンメロン というのがわかる。
→アキラくんのアパート前で張り込み、ストーカー魂全開! →実は 刑事! というのが笑える。

どこ01
張り込み中! アキラく~ん☆


アキラくんは特殊なフェロモンが出ているのか、周りにオヤジが群がってきます。

――アキラくん、おつかれ~ これ、飲んで!

と、アキラくんの職場の社長、缶コーヒーを差し出す。
明らかにプルトップが開いていて、既に口をつけた様子。

――今飲んで。 ここで飲んで。

ぞぞ~~・・・ おぞま~・・・
こんなにおぞましい缶コーヒーの使い方ってないよ~。
以降、社長の缶コーヒー攻撃は続き、社長のアキラくんに対する執着はエスカレートしていく。
→ アキラくんのロッカーを開け、コ汚いアキラくんの作業靴を前に、ヨダレを垂らすオヤジ
この社長が、孤児院育ちのアキラくんの親代わりで、昔から性的虐待をしていたのだ。

どこ05
いやがるアキラくんにお小遣いを渡してるとこ

前半のこのオヤジ二人の毒気にやられ、こりゃ見通しがてんで甘かったことを悟ったところで、物語は殺人へとハッテンして行く――

これがなぜ レートに引っかからないのかが不思議。
これだと <R-15> は付けてもらわないと。
あら、<R-15>?!  エロなのかしら? グロなのかしら?
と、ついてたら、こちらもそれなりの心の準備が出来るではないか?
(この場合、エログロどちらもだったけど・・・)

というより、松井良彦という人がどういう人か、というのをわかって見ていれば、それなりに良かったのだ。
こちとら、てんでシロートだったもんで。

この殺人シーンがハードで、しかも、フラッシュバックして、何度も何度も繰り返しあらわれる。
主演の柏原クンは、「ハードな部分もあるけど、目を逸らさないで見て欲しい」 とコメントしてたが、
ダメ! 目を逸らしてしまいました・・・。
これも後から考えると、松井良彦の観客に対する挑発なのか? とか思えてくる。


この作品、出演者がみなリアル感があるのだ。
主役のアキラ(=柏原クン)もその辺にいるちょっと顔立ちのきれいなにーちゃん、というかんじ。→工場の作業服が体に馴染んで、ちゃんとこなれてました。
(福田が出入り禁止になった カラオケ「ピンポンパン」の店長とか、この人シロートだよね)
が、やはり、オヤジ二人!

社長のキモさのリアル感 : 朱源実(しゅ げんじつ) → この人は、<木更津キャッツアイ>とかにも出てるのね。
しかし、何といっても、福田役 佐野 和宏 (松井組常連俳優 ピンク四天王)
どこを見ても、 「佐野和宏の圧倒的存在感」 と評されているが、そう、その通り。
やっぱり、映画ってこういう役者がいないとダメだよね。
TVドラマやバラエテイに出ちゃってちゃ、ダメだよ~。

コミックやTVドラマの安易な映画化、アイドルを多用したお子様向け作品・・・ぬるま湯の日本映画界に一石を投じた作品。

「性的トラウマを抱えホモセクシュアルになった青年とニューハーフとの
究極の ”初恋” 物語」

という宣伝文句をうのみにしていた自分がバカでした。
しかし、これを 「非常にかわいらしい青春ラブストーリー」 という松井良彦って・・・。

どこ02


あんずちゃんは、風水の李家幽竹センセに似た乙女チックなかんじ。
「何もいわずに優しくアキラを受け入れてくれる」お釈迦様のような、時に仁王のように力強い面もあり、ナイスキャスティングでした。
演技がうますぎないとこもいいです。

どこ03
乙女チック☆な 李家幽竹センセ

アキラの職場の先輩社員 三木 を演じた 三浦誠己(みうら まさき)、ゲイ受けしそうなタイプで魅力的。
この人は、元お笑い芸人だったのね。(コンビ 「トライアンフ」って、知らねーよ!)
もっと他の作品も見てみたいと思わせる役者。ナリチュウ(=成り行きが注目される)だわよ!!

どこ04


柏原クンのインタビューを見ると、
―― 一番印象に残っているのはやっぱり監督が過激なシーンになると生き生きしていたことでしょうか(笑)。
殺すシーンや燃やすシーン等になるともうスイッチポン!みたいな(笑)。
映画では同じシーンをアングルを変えて何回か撮影するんですが、そういうシーンへのこだわりは凄かったですね(笑)。
監督の嬉々とした姿を目の前にして、「やっぱり 『追悼のざわめき』 を生んだ方だなぁ」 としみじみ思いました。

―― 監督のように 「かわいらしいラブストーリー」 とは言えないですけど(笑)、僕が今までやってきた作品の中ではとびぬけて過激でハードな作品であることは間違いないですね。
でも同時に柔らかくハートフルな部分もあり、とてもいい作品に出会えたと思っています。


あ、やっぱり、「かわいらしいラブストーリー」 とは思えないのでいいんですね(笑)
ほっとしたわ、このコメント見て。



79年、『狂い咲きサンダ‐ロード』(80)をはじめ、石井聰亙監督作品のスタッフを務める。
79年にホモセクシュアルの三角関係を描いた処女作 『錆びた缶空』 を完成させ、ぴあ誌主催のオフシアター・フィルム・フェスティヴァル(現PFF)に入賞。
一部に熱狂的なファンを持つ、いわば “カルト・ムーヴィー” の草分け的存在となる。
続く第二作 『豚鶏心中』 (81) は故・寺山修司氏の天井桟敷館で長期ロードショーを果たした。
そして、第三作 『追悼のざわめき』 (88 )は、今はなき中野武蔵野ホール (2004年5月閉館) 史上最も多くの観客を動員。
当時、数ヶ国の映画祭に出品が決定していたにもかかわらず、そのすべてで上映禁止となるも、10年後の 98年には、ドイツやデンマーク、ノルウェイの7都市で上映をされ、好評を博す。
同作は 07年9月、デジタルリマスター版として、シアターイメージフォーラムなどで公開された。


昨年の 特集上映の時、チラッと気になってはいたのだが観れば良かった。
その時は、アンテナがうまく作動しなかったのね。 不覚。
22年前の前作 <追悼のざわめき>
これ調べると、エピソードがいろいろあって、

――その内容の過激さから、1985年のトリノ国際映画祭に出品を予定されながらイタリア税関でストップされるなど、数カ国の映画祭に出品が決まっていたにも拘らず、その全てで上映が禁止となるという事件がおきた(試写を担当した映写技師が嘔吐するということまでおきたという)。

一体、どんな話なのか? 
と言っていたら、ダーリンが中野武蔵野館で観たという。
小人の兄弟が出て来る話。 とにかくタブーでカルト! って、わかるようなわかんないような説明なんですけど・・・。

最初はちょっと観られないなあ・・・と思ったけど、だんだん無性に観てみたくなってきた。
今や、DVD発売されているようだが、こういうのは暗い映画館のスクリーンで観るべきだよな。
近い内に観る機会がある気がする。 チロの予感・・・。

松井良彦作品って、阿片のようなんだろうな。
病みつきになるコアなファン、固定ファンがいるんだろうな。
って言ってたら、すっかりはまっていたりして。


↓DVDの商品詳細に、ストーリーがありました。
確かに、タブーでカルトで過激だわ。


初回限定生産 追悼のざわめき デジタルリマスター版 スペシャル・エディション(3枚組)初回限定生産 追悼のざわめき デジタルリマスター版 スペシャル・エディション(3枚組)
(2007/12/21)
佐野和宏.仲井まみ子.隈井士門.村田友紀子.大須賀勇(白虎社).日野利彦(人力飛行機舎).白藤茜.皆渡静男.高瀬泰司.(声)松本雄吉 他

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