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「わが母なる暗黒」と「記憶を消す子供たち」 - 2006.11.01 Wed

ジェイムズ・エルロイといえば、10歳の時、母が殺され、その事件は迷宮入りしている。その40年前の事件を自ら再調査して、本にしたのが、「わが母なる暗黒」である。(この再調査はもともと、<GQ>の編集長が資金提供を申し出、<GQ>に経過を短期連載していた)

わが母なる暗黒 わが母なる暗黒
ジェイムズ エルロイ (1999/07)
文藝春秋
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その訳者あとがきで、一冊の本が紹介されていた。それがこのレノア・テア「記憶を消す子供たち」

記憶を消す子供たち 記憶を消す子供たち
レノア テア (1995/08)
草思社
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恐ろしい体験をすると、子供たちは身を守るためにその出来事を忘れる。しかし記憶は意識下に潜み、一生を通じてかれらの行動に影響をおよぼしつづける。なぜ、そうした記憶は潜在化するのか、どんなときに記憶はよみがえるのか、その記憶ははたして真実なのだろうか。

著者は、トラウマ体験と記憶のエキスパート。とにかくおもしろい。ミステリーファンでもある著者が、七つの実話を紹介する。症例としてもおもしろいが、ミステリとしても読ませる。

第7章「ブラックダリアの息子」レノア・テアは、エルロイを取材対象に選んだのである。一番最初にエルロイと会う件り、エルロイファンは失笑を禁じ得ない。あまりに暴力的な小説ばかり書いているエルロイは、著者に警戒される。著者は、ドアが開くまで、何かあったらすぐ逃げよう、と身構えていたのである。(かわいそうなジェイムズ・・・でも笑える) 生い立ちと母の事件を語るエルロイの話は、まんま「わが母なる暗黒」の焼き直しのようであった。著者の2回の訪問が、「わが~」に影響を及ぼしたのは想像に難くない。

レノア・テアは言う。 ―エルロイの<ブラックダリア事件>への耽溺は、「色っぽい黒髪の女」に夢中になることで、「色っぽい赤毛の母親」から目を背けた。ある対象から別の対象に防衛的に視線を転移し、あるいは対象を差し替えることで、少年は’彼女’について考えずにいられた。<置き換え>と呼ばれる防衛機制である。

「わが母なる暗黒」でエルロイは言う。 ―事件を自らの手で再調査するというその旅は、母の魂を慰め、自らの妄執を鎮める為の巡礼の旅となった。

多くの症例では、「自分のこどもを見て、自分自身のこども時代がよみがえる」という経験が多かった。そうすることで、人々は「充足感」を得、自分自身を見つけることが出来る。エルロイの巡礼の旅の終りは、読んでいるこちらも、なにかやすらぎのようなものが感じられた。

記憶ってほんとにおもしろいなあ、と勉強になりました。一番印象に残っているのは、「短期記憶と長期記憶」これらは、保管場所も質も違うそうだ。そっか、だから、ばーさんがさっき食べた晩ご飯の事は忘れちゃうのに、自分の娘時代の事は鮮明におぼえているんだ。が、長期記憶=古い記憶は、何度か再組成され、リライトされるので、必ずしもそれが正しいとは限らないそうです。

話は全然違うんだけど、エルロイ作品って、LAという場所柄、スペイン語がやたら出て来て、読んでいる内に、スペイン語の汚いお言葉を覚えてしまう。「ペンデホ」(=バカ野郎)とか

クリントン政権時代、国務長官を務めたオルブライトが、ある演説中、ヤジにカッとして、 コネホス! と言い返していた。こんな政府閣僚で、しかも女性でも自然に使う言葉なんだ・・・と実践としてよくわかりました。

※ コネホス=conejos =金○マ野郎

Albrightmadeleine.jpg
マデレーン・オルブライト

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