2017-10

女たちは二度遊ぶ - 2013.03.21 Thu

「女たちは二度遊ぶ」吉田修一


女たちは二度遊ぶ女たちは二度遊ぶ
(2006/03/25)
吉田 修一

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十一人の女たちを回想する連作短編集。

表紙カバー写真は、よく見るとゴージャスなファーなのです。
この本のテーマによく合っている趣味のよい写真。



――本当になんにもしない女だった。
炊事、洗濯、掃除はおろか、
こちらが注意しないと、三日も風呂に入らないほどだった。
女は名前をユカといった。

ともだちの仁ちゃんがとつぜん女友達をぼくのアパートに連れて来た。

――「やだ~。雨じゃな~い。それもどしゃぶり・・・」
「雨が上がるまでいれば」
もちろん、やさしい気持ちからではなく、
「この雨が上がったら、帰ってくれよ」
という気持ちからだった。


ところがこの雨はなんと3日半も降り続いた。
ユカはそのままアパートに居続けた。2ヶ月近く。・・・「どしゃぶりの女」

「ぼく」は、なんにもしない女・ユカを次第に愛おしく思い始める。
こういう愛のかたちもあるのか、と思わせる一作。



――あれからもう十年も経つが、実際なんであんな女と付き合っていたのか、
自分でも未だに腑に落ちない。
当時、ヘンな薬でも常用していて、意識がもうろうとしていたかもしれない
とさえ思う。


かなり ”ワイルドな”女・あかねと付き合っていた男の話・・・「殺したい女」
吉田修一のユーモアセンスというかコメデイセンスが利いた一作。
読みながら何度も笑い転げた。とぼけた味わい。

駅でたまたま見かけた”いい女”のあとを尾ける・・・「夢の女」

――とにかくよく泣く女だった。 で始まる・・・「泣かない女」

虚無的でミステリ仕立ての 「十一人目の女」
など十一篇。

女のことを描いてはいるのだが、女たちを回想しているのは「男」である。
「女」を直截でなく遠景でとらえるという点、回想連作短編集という点で、<日曜日たち> と共通点がある。

にしても、ユカといいあかねといいその他問題が多い女ばかりだが、それを語る男どものろくでなしっぷりもかなりなものである。
失職中のヤツか、学校に行ってない大学生か、他いろいろダメダメなヤツら。
それでもみなそれなりに楽しそうな日々を送っていたのだった。人生ってそんなもんか。

吉田修一作品は、作中に何気なく出て来る映画や小説の趣味が良い。

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最後の「ゴシップ雑誌を読む女」の、要領だけはいい派遣社員の男が昼休みに読んでいたのは、ジュネの「ブレストの乱暴者」。
(ちなみに <ケレル> の原作)

===
吉田修一先生のコメントを記しておきます。

実は何気にすごく気に入っている作品なんです。
もちろん全部ではないんですが、「どしゃぶりの女」が書けたときは本当に嬉しかったですね。
これぞ作家の短編という感じがしました。
自分が思い描いたものを小説にすることができたと。
この小説は割と理想的な恋愛の形が描かれているんです。
振り返ったときに個人的にはいい思い出になりそうなものが11個できました。


===
どうです? 先生のコメントで俄然読みたくなったでしょ。

この作品は映像化されています。ネットドラマ。

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