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白 書 - 2007.10.25 Thu

「白 書 」 ジャン・コクトー
(Le Livre Blanc/Jean Cocteau/山上昌子訳)


jean04.jpg


1928年、匿名による秘密出版として限定21部が刊行され、やがてコクトーであると知れて文壇の噂となる「白書」。
香気漂うホモセクシュアルの告白を、新鋭のコクトー研究家山上昌子の女性による本邦初訳と、ジャン・ジュネのために描いたとされる日本未発表作品を含むデッサン40点を合わせて編纂した、性の自叙伝、初の単行本化。


この本を見ると、何か不思議な気持ちになる。
美しい話と、あのコクトーが描くエロティックな画をこんなにたくさん見ることが出来る幸せ。
至福の書だ。



この本の存在を知ったのは、吉田修一 「Water」 (拙ブログ 4/10 ご参照)の中に出て来たからである。

どこか同性愛の匂いをさせる圭一郎が言う。

― なあ、凌? お前、ジャン・コクトーって知っとるや? フランスの詩人で
― 名前だけなら
― じゃ、それの「白書」って小説なんて読んだこともないやろ?
― ああ、もちろんない。


”それ”だけだが、”それ”だけで内容が察せられるうまいセリフだ。

又、映画 「Water」 (同 4/16 ご参照) では、現物の「白書」が出て来て、凌雲がパラパラと頁を繰る。

ほほ~お

開く頁毎に画がある。それも、かなりキワどい画ばかり。

そういう本だったのね、と、すぐ探してみた。
絶版だったが、ネット古書店ですぐ手に入った。 便利な時代である。

――思い出せる限り遠い昔、まだ精神が官能を左右しない年頃においてさえ、
  私は男性が好きだったという形跡がある。
  私は常に「強い性」、男性を愛してきた。
  それを「美しい性」と呼ぶのが正当だと私は思う。


という文から始まる <自伝的私小説風> の形態を取っている。

幼いころの記憶――
郊外の館、近くの農夫が素っ裸で馬に水浴びさせているのを見てしまう。
幼い 「私」 は、 ”その中央の一つの謎” に目を奪われ、気を失う。

この辺の件は、三島由紀夫「仮面の告白」を想起させる。
汚穢屋の股引き姿に欲情するエピソードと似通っている。

以降、「私」の <愛の遍歴> の物語。

この本を見ると、何か不思議な気持ちになる。
美しい話と、あのコクトーが描くエロティックな画をこんなにたくさん見ることが出来る幸せ。至福の書だ。

その画のどれかを紹介しようと思ったのだが・・・
どれもヤバ目だなあ。
そこには、コクトーの限りない 「陰茎礼賛」 がある。

陰翳礼讃 (中公文庫)陰翳礼讃 (中公文庫)
(1995/09)
谷崎 潤一郎

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こちらは、谷崎 「陰翳礼讃 」 これまた名著!


訳者の後書きによると、
「白書」は、1927年に書かれた。詩人 38歳の冬である。
翌年、初版限定 21部、著者名・出版社名なし。
2年後の新版には、コクトー自身の後書きがあるが、不思議なものだった。

――「白書」は、私の作かもしれない、そうでないかもしれない、
   いずれにせよサインはしない。


つまり彼は、表立って ”同性愛”を扱った唯一の作品である「白書」を、公式に自作と認めたことは一度もなかったのだ。

そして、コクトーの死後、今日、コクトーの名でこの本は、私の手元にある。

――それにしても、「白書」の硬質で抑制された文章と、これらのデッサンとの間の
   異様なギャップはどうだろう。
   作品という怪物の潜む「人体の夜」の闇の深さを思わずにはいられない。


この文章、すごくかっこよくないっすか?!
訳者 山上昌子さん、シビれました。

ジプシー、野菜を積んだ夜明けの馬車、
南フランスの海、忘れてきた手袋

ああ、こういう匂いをかいだのはいつだったか・・・。
遠い目になりました。

jean03.jpg


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