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傷ついた男 - 2012.04.09 Mon

「傷ついた男」
(1983/FRANCE/L'Homme blessé)


homme02_20120331120127.jpg


『ベティ・ブルー』のジャン=ユーグ・アングラード主演。美しくも激しい男同志の愛を描いた衝撃作。


<愛する者よ、列車に乗れ> を借りに行った際、となりにノーマークのこれを発見!

ほえ~、こんな作品もあったのねえ。
監督別になっていなかったら到底みつからなかったよ。
シェローのような作家性の強い監督作品は、こうした監督別に揃えるべきだよな。
ありがたいこってす。




地方都市に住む青年アンリは、旅立つ妹を見送りに行った際、駅のトイレで暴力的でセクシー、破滅的なジャンと知り合う。
そこには今まで知らなかった世界があった。
ジャンに魅せられたアンリは彼をみつけようと夜な夜な駅をさまよう。
そして、”男と男の世界” へと溺れて行くのだった。


「暴力とセックス、そして殺人」
ここに描かれる非日常な世界。
パトリス・シェローはもともとジャン・ジュネの <泥棒日記> を映画化したかったのだが、権利関係の問題で叶わず、エルヴェ・ギベール(1991年エイズで死亡) と脚本を共同執筆した。

というのを聞くと何もかも合点が行く。

ジャン・ジュネ!!

盗みや裏切り、暴力、レイプ・・・全ての悪徳は、同時に美徳でもあるジュネの世界。
アンリは何度もジャンにだまされ、盗みや美人局をしたり。そして裏切られ追い詰められる。
しかし、それは二人の間の ”プレイ” であり、二人はそれを楽しんでいるかに見える。


学校に行っているでなく、働いているわけでもなく、毎日を無為に過ごしているアンリ。
両親は揃っていて家族があり、家は裕福ではないが貧しくもない。
でも彼は家にも外にも自分の居場所をみつけられずにいる (若者というのは大体がそういうものだけど)

しかしジャンと知り合ってアンリは、堕ちていきながらなんといきいきとしていることか。

駅舎が一大ハッテン場だった。
公衆便所はもちろん、階段や通路、いたるところに男たちがたむろしている。
そして、駅のとなりの劇場みたいなとこ。
ここのいかがわしさ上等!
男たちが何人も吸い込まれるように消えて行き、アンリはけしてここに入れない。
入れないゆえに、ここのいかがわしさがいや増す。
このミステリアスな部分、見ていてどきどきした。
こういうところがこの作品はすごくうまい。

そのいかがわしさが、最後にアンリが取った行動によって純粋な何かに浄化されたのだった。

先に観た <愛する者よ~> とは全く違った作風。
ひたすら泥臭く、薄汚れている。
が、この作品に関しては迷子になることなく、テーマは極めて明快。共感は出来ないけれど。


主役アンリを演じるジャン・ユーグ・アングラード、この時28歳なのだけれど繊細で傷つきやすい少年のように見える。
”おじさん” たちの庇護欲をそそるタイプ。
まだブレイク前の出演というが、それにしても体当たり演技!
ここまでやっちゃうか。エラい!
ヨーロッパ映画を見ていると、主要な俳優の多くはゲイ役を経験しているのでは?

その前に、”こういう” テーマの作品を一般映画として作れない日本映画界のむなしさよ。


homme01_20120331120127.jpg


相手役ヴィットリオ・メッゾジョルノ、ガタイ良く危険な香りがするジャンにぴったりのナイッスキャスティング。
但し、ヴィットリオはイタリア人なので、フランス語吹き替えは、ジェラ―ル・ドゥパルデュー。

あら、Imdbを見てみたら、この人50歳くらいで亡くなってる。
エイズなのか???
残念ながらImdbには詳細が載っていない。
気になってしつこく調べてみたら・・・ がんだった。享年52歳。合掌。

homme03_20120331120127.jpg


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