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穏やかな暮らし - 2011.06.03 Fri

「穏やかな暮らし」
(2010/Italy/Una vita tranquilla)


unavita01.jpeg


ドイツ・フランクフルトの近くで、ホテルとレストランを順調に経営する50歳のロザリオは、妻と息子と穏やかに暮らしていた。しかしある日、若くていかつい2人のイタリア人が彼の元を訪れてから、平穏な日常にさざなみが立ち始める。過去から必死に逃れようとする男を、静と動を見事に使い分けて演じたセルヴィッロが、10年ローマ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。


【2011年 イタリア映画祭 上映作品】

一作目の <アルデンテな男たち> から一転、重く骨太な作品。




イタリアにはさまざまな組織がある。
シチリアには 「コーサ・ノストラ」、ナポリには 「カモッラ」 ・・・。

今はフランクフルトで妻と息子と三人、”穏やかな暮らし” をしているロザリオは、かつて ”組織” の人間で、今はそこから逃れ息を潜めて生きている。
そこにイタリアから若者二人がやって来る。
その内の一人、デイエゴは、かつてロザリオがイタリアに置き去りにした実の息子だった。

組織から身を隠す男のドラマだが、やはり 「ファミリアの絆」 を描いた作品。
といってもいささか変則的な 「絆」 だが。
切ったと思っていたのに切れない 「絆」 とでも言えばいいのか。


冒頭、ホテルの一室に若い男二人がいる。
一人はベッドに寝そべり、一人は洗面所に。
テレビに映るニュース映像、ある会社の若き社長の顔がクローズアップになる。
それを見て一人が、「ハンサムだな」

えっ、これってそういう映画だったのおおおおお???

とヨロコビも束の間、全然 ”そういう”映画ではありまっしぇん。
二人は組織の人間で、ハンサムな若社長は、次のシノギのターゲットだった(がっくし)


unavita02.jpg
イマドキの若者 左がデイエゴ

そのターゲットの会社の近くにロザリオが経営するホテルがあった。
若者二人はしばらくここに滞在するのだが、ロザリオは心穏やかでいられない。
若い二人のミッションは成功するのか?
ロザリオの ”穏やかな暮らし” は?

イタリアには、けしてドラマの中だけでなく、こういった組織がらみの事件が日常にあるのだろう。コワイ・・・。
そしてこのドラマのもう一つのテーマである父子の関係。

かつて組織から逃れる為、妻と息子を置いて消息を絶ったロザリオ、大人になった今もデイエゴは、父に棄てられたという思いを抱いている。
久しぶりに再会した父は、妻と子の為にはああするしかなかった、という。
正論かも知れないが、息子は納得できない。
目の前のミッションを前に、デイエゴの心は、父に捨てられたこどもの頃をさまよう。

(以下ネタバレあり)

保身のため、若者一人を殺したロザリオは再び組織に追われる。
巻き込まれたデイエゴは事故死する。
ホテルも妻も子も捨て逃げるロザリオ。
男は同じ道をたどることしか出来ないのか。

デイエゴはただ父の愛が欲しかっただけなのだ。
今フランクフルトに残された幼い息子も、かつてのデイエゴと同じ想いを抱くのだろうか。

主役は、トニ・セルヴィッロ。
<湖のほとりで> (2009年イタリア映画祭上映作品)の飄々とした刑事から一転、苦悩する男を演じた。
さすが演技派!

ずーーーんと重い一作。



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