2017-10

花蓮の夏 - 2007.12.12 Wed

「花蓮の夏」
(2006/台湾/盛夏光年/ETERNAL SUMMER)



karen06.jpg



小学校で班長を務める優等生のジェンシンは、教師から問題児のショウヘンと仲良くなるよう言われる。 それ以来、親友として過ごし高校生になった2人の前に、孤独な少女ホイジャ(ケイト・ヤン)が転校してくる。
彼女の登場により、ジェンシンはショウヘンへの秘めた思いに気付き始め……。
恋とも友情ともつかない思いを秘めた幼なじみの青年2人と、彼らを見守る少女が織り成す恋模様。
斬新な映像センスでアジアから注目される台湾の若手監督レスト・チェンがメガホンを取り、若者たちのほろ苦い青春を鮮烈に描き出す。
禁断の恋に揺れる主人公を演じたブライアン・チャンは、映画初出演ながら 2006年台湾金馬奨最優秀新人賞を受賞。 相手役のジョセフ・チャンとともに、端正な容姿と確かな演技力で台湾の若手トップスターとなった。
(シネマトゥデイ)


【第16回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2007)上映作品】

この作品は、2007年映画祭クロージング上映作品で、本国での評判(ゲイの方々は情報が早いですからね)と、主演の二人が舞台挨拶に来るというので、早々に前売り券が、SOLD OUT になったという作品。
この時既に秋の劇場公開が決まっていたので、私はそっちで観ればいっか?!と。
で、ようやく観て来ました、

14:40 @渋谷ユーロスペース

しかし、今となっては主演のナマ二人、見たかったなあ。



いやあ、良かったです!
台湾映画の同志片(=ゲイ映画)って、メンズの顔が私の中では今ひとつ、というところがあったので、正直、作品としての期待値はさほど高くなかったんす。
映画が始まってすぐ、それは間違いだとわかりました。

ま、いわゆる 「幼馴染みモノ」 ですね。
優等生 ジェンシンは、幼馴染みの ショウヘン を好きだとある日自覚する。
二人の関係が壊れてしまうことが怖くて告白はしない。
それゆえに、ショウヘンを見るジェンシンの視線は熱い・・・。

こども時代は、どうしようもない問題児のショウヘンだけど、時間軸が高校生に飛ぶと、いきなり 男くさいいい男になってるのよね。
このショウヘンというキャラクターが実に魅力的で、ま、<体育会系単純バカ>なんだけど、
<直球一本勝負の男> なわけよ。
<生のエネルギー>に満ち溢れて、まぶしいかんじ。
ゲイの方々のツボではないかと思われ。
で、それを演じる 張孝全(ジョセフ・チャン)が はまり役!
体育会系なので、これが又、いい体してるんだわ。

一方、主人公のジェンシン、ショウヘンへの恋心を封印している苦しい胸の内、ゆれる思いが痛いくらいこちらに伝わって来て、もうすっごくせつないのです(後半は泣き通しっす)。
この辺りを、監督 陳正道(レスト・チェン)は、繊細にみずみずしく描きます。
自分の思いが溢れそうで、苦しくて、ジェンシンはショウヘンと距離を取ろうとするんだけど、ショウヘンはそんなことに気づきもせず、まるで犬のように、まとわりついてじゃれて来るのです。

そしてこう言う。
――なんだよ、俺たち親友だろ。

その通りなんだけど、ある意味残酷な言葉です。

このジェンシンを演じる 張睿家(ブライアン・チャン) が又いいです☆
若者らしいつややかな唇が魅力的。
同志片というのは、パワーバランスが大事ですから、どちらか一方ばかり輝いていてもだめなのね。
この、二人の主演俳優に恵まれたことが、この作品の成功のポイントのひとつでしょう。
映画初出演で、ブライアンは、2006年台湾金馬奨最優秀新人賞を受賞しています。

お互いがお互いを、何よりも大切な人 と思っているのに、傷つけるようなことを言ってしまうのです。 
そんな ♪若さゆえ~の不器用さが又涙を誘います。

karen19.jpg


ところでこの作品、<R-15> 指定になってます。
一体どの辺りが <R-15> なのか? 期待していいのか?!
中盤まで特に問題はありません。
この作品の山場のひとつ、ショウヘンがホイジャ(♀)とつき合っていると知ったジェンシン。
ショックを受け、ふらふらとハッテン場の公園へ行き、リーマンとホテルへ・・・。
ここで、ぐへへ と思うのだが、レスト・チャンは、抑え目な演出に徹します。

コトが終わり、一人風呂に入っているジェンシンをカメラは捕らえます。
この表情がいろっぽくて、レスト・チェン やるなあってかんじ。

karen01.jpg


さて、ショウヘンの気持ちはどうなのか? そこが問題よね。
ちょっと期待していいんじゃないか?
そして、<R-15> はどうなったのか?

終盤に物語は展開を見せる。 

karen18.jpg


え、え、ええ~っ! あれよあれよという展開。
この時のジョセフ・チャンの張りのある背中がきれいです。
ここが <R-15> だったのか・・・。
いやしかし、ベッドシーンつったって、せいぜい <PG-12> レベルだと思うよ。
やはり、<♂×♂> にショックを受ける中学生に配慮しているのかね、映倫は。
中学生にとって、<♂×♂> のシーンは果たしてショックなのだろうか???

結末はどうなるのか――

とにかく丁寧に作ってあるなあ、と思います。
監督がこの二人に寄り添って作っている気がしました。
このテの日本のゲイ映画は、ノンケの監督が、「こんなもんだろ」 と作っているかんじが透けて見えて、おもしろくないんですが、この作品は全然違うのです。
ノンケの監督がゲイ映画を撮っちゃあいけないというのではありませんし、レスト・チェンの性指向も知りません。
こういう作風というのは、台湾映画独特なものかも知れません。
香港映画とはまた違う感触。 

ゲイの人たちなら、青春時代、皆一度は経験した思いではないでしょうか。
観終わってしばらく、こちらの世界に戻って来られませんでした。
せつなさ 100%。 心に響いた一作。

花蓮(=ホアリエン or ファーレン)とは、台湾東部の町。
ジェンシンたちが生まれ育ったところ。
この邦題はうまいですね。 きれいなタイトルです。
(映画祭の時点では、仮題 『永遠の夏』 がついてました)

尚、スチールは 『ブエノスアイレス』 『2046』 など、王家衛作品で名高いフォトグラファー ウィン・シャ が手掛けています。 とても美しいです。



台北報導の記事によると:

ジョセフ・チャン(張孝全)とブライアン・チャン(張睿家)は全裸の後ろ姿を露出するという大胆なベッドシーンに挑戦した。
ブライアンは相当プレッシャーだったらしく、「友人がこれを見て自分を嫌いになったらどうしよう」と心配していたという。
彼は改めて自分のベッドシーンを見たとき、緊張と怖さが入り交じり、見続けることができなかった。ジョセフのキスのテクニックはどうだったかと聞かれると、ブライアンは
「変な感じだったね。2人とも男だから、ヒゲがジョリジョリして、あまり気持ちよくはなかった(笑)」
とはにかみながら話した。


karen04.jpg
ブライアンは清潔感があるのよね☆

男くさい、ジョセフが気に入ってしまいました。
これで高校生は、ちょっとフケてるだろ! と思ってたけど。
この映画から離れると、全然別の表情だわね。

karen05.jpg
こちらは、coke のCMです。


karen22.jpg

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