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ハーヴェイ・ミルク - 2007.12.20 Thu

「ハーヴェイ・ミルク」
(1984/THE TIME OF HARVEY MILK)


harvey01.jpg


サンフランシスコの市政執行委員・ミルクは市長と共にゲイやマイノリティ差別撤廃を働きかけるが、同じ委員の男によって暗殺される。その事件を彼の活動の軌跡と共に描く。
アカデミー最優秀長編記録映画賞を受賞したドキュメンタリー。



久々にしゃくり上げて泣きました・・・。



何年か前に ハーヴェイ・ミルク事件を映画化した作品を観た。
(→<破滅の銃弾 ハーヴェイ・ミルク事件>)

良く出来た秀作だった。
以来、実際のミルクはどうなんだろうか? と、ずっとこのドキュメンタリ作品が気になっていた
(だったら早く観ろよ)。

始まってクレジットが出たところで、
えっ、ロバート・エプスタイン が監督なの!?
(名作 『セルロイド・クローゼット』 の監督ね)
ガゼン 期待度 MAX!! スキっ!

ナレーターは、ハーヴェイ・フアイアステイン。
(↑ 良く出来たキャスティングだと思いませんか?)


冒頭 市長代行(♀)が会見している。
――市長とハーヴェイ・ミルク委員が射殺されました。
  容疑者は、ダン・ホワイト委員です。


事件の経緯は既に知っていたが、ナマの映像の迫力にショックを受けた。
市長代行の声は上ずり、女性の叫び声が聞こえる。

この作品は、実際のフィルムと彼の周辺の人々のインタヴューで構成されている。
よくまあ、こんな映像まであったわね、という貴重なフィルムがたくさんあった。

そしてその後本編はこう続く。

暗殺の一年前、彼は遺言を録音している。
――私が暗殺された時にこれを公開して欲しい。
  私のように目立つゲイの活動家は、臆病な人間にとって格好のターゲットだと
  いうことをよく承知している。
  いつか殺されるかも知れないから、考えを誰かに伝えておきたい ――


これにはまたまたショック・・・。
命を懸けて政治活動をしている人なんて、今の日本じゃ考えられないよ。

観ていて思ったのだが、<時代の流れ><波> というのがあるのだ。
’75年に改革派のモスコーニが市長に就任し、選挙制度を小選挙区にし、各地区から委員を選出するようにした。
それまでの選挙で三度落選していたハーヴェイ・ミルクは初当選を果たす。
他の地区からは、初の黒人女性、中国系 などのマイノリティが誕生した。
市長は市庁舎に新しい風を入れたいと考えていた。
モスコーニが市長になっていなければ、ミルクは当選しなかったかも知れない。
まさに時代の波が来ていたのだ。
そして、その一方でその波に乗れない、流れが読めない取り残される人もいる。
それが、地元出身、元消防士 ダン・ホワイトだった。

ハーヴェイ・ミルクは、ゲイの権利だけを主張したわけでなく、全てのマイノリティ、社会的弱者:老人やこども、障害者、労働者の権利に対しても広く活動し、更に多くの支持を得ていく。
そしてゲイに対しては常にこう言っていた。

――カミングアウトしよう。 家族や職場、友人、近所の人に。
  苦しいかもしれないが自分らしく生きられる。
  こそこそ隠れて生きる必要もない。
  カミングアウトしたら、ここにもあそこにも仲間がいることがわかる。

ミルクはそれにより、職を追われることのないようなゲイ条例の通過に働きかけていた。
信念に基づいて活動しているフィルムの中のミルクは、光り輝いている。

そして悲劇は起きる。

若いゲイ活動家は言う。
――パートナーから知らせを聞いて空港から市庁舎に直行したら、
75人くらいの人しかいない。
えっ、これで全部? と、二人でカストロ通りに向かったら――


キャンドルライトを持った人々が通りを埋め尽くしまるで天の川のようだった。
白人のおばあさん、労働者、黒人・・・あらゆる人々がいた。
もうこのシーンの感動的なこと! 胸がふるえた。

ゲイの教師は言う。
――その時、一人の黒人が叫んだの。
  「なぜみんな怒らないんだ?!」
  確かに怒りはあったけど、あの時は穏やかにいるのがふさわしかったと思います。


映画はここで終わるのかと思ったら、更に展開を見せる。
ダン・ホワイトの裁判は重い刑ですぐ決着すると思ったら、偏った陪審員のおかげで、予想外の軽い懲役刑に (結局ホワイトは5年半で出所する)。

ハーヴェイ・ミルクを支持していた自動車工のおじさんは言う。
――もし彼が、市長一人を殺していたら、残りの生涯を刑務所で過ごす
ことになっただろう。
しかし、悲しいことに、人々の多くはまだ、ゲイをを殺すことは社会の
ためになると思っている。


この後これを不服とした人々による大暴動が起きる。


最後におじさんは言う。
――警官がゲイバーでゲイたちをいじめた、なんてニュースを聞いたら、
  「どこが悪い? いいじゃないか」と思ったよ。 以前の俺ならね。
  ハーヴェイ・ミルクに会わなければ。


映画のラストに、ハーヴェイ・ミルクが遺した遺言のメッセージテープが流される。
これが又泣ける・・・。 
そして静かに映画は終わるのだった。

劇場公開された時は、あちこちからすすり泣きが聞こえたそうだ。

ロブ・エプスタインらしく、映画は淡々と進む。
けして声高に叫ぶことなく、ロブらしいユーモアセンスもあって。
この映画は <愛> に溢れているの。
ミルクがみんなに愛されていたのがわかるの。

生涯の BEST 3 (ドキュメンタリ部門) の一つだな。
これでアカデミー賞を受賞したのは素晴らしい。
ロブはこの後、『Common Threads: Stories from the Quilt』 ('89) で2度目のアカデミー賞を受賞することになる。
(これは、エイズで亡くなった人とキルトの物語らしい)


closet33.jpg"Common Threads: Stories from the Quilt"


robeps01.jpg
ロブ・エプスタイン

ハーヴェイ・ミルクはいくつか遺言テープを残している。
それらのテープの1つには

「もし銃弾が私の脳に到達するなら、その銃弾はすべてのクローゼットの扉を破壊する」

という、有名な彼の文が含まれている。

Harvey_milk_plaza.jpg
サンフランシスコのハーヴェイミルクプラザに掲げられた言葉


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