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小説 眠れる美女 - 2011.03.09 Wed

「眠れる美女」 川端康成

眠れる美女 (新潮文庫)眠れる美女 (新潮文庫)
(1967/11)
川端 康成

商品詳細を見る


(「BOOK」データベースより)
波の音高い海辺の宿は、すでに男ではなくなった老人たちのための逸楽の館であった。真紅のビロードのカーテンをめぐらせた一室に、前後不覚に眠らされた裸形の若い女―その傍らで一夜を過す老人の眠は、みずみずしい娘の肉体を透して、訪れつつある死の相を凝視している。熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の名作『眠れる美女』のほか二編。


数年前、あるきっかけで購入、数十頁読んだところで放置プレイ・・・。
今回やっと読み終わることが出来て良かったッス。

新潮文庫版のカバーは、平山郁夫。



――たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ。
眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ。
と宿の女は江口老人に念を押した。


という冒頭から始まる。

小説が映画化された時、断然 「読んでから見る」派だったが、最近は 「見てから読む」 のもまたおもしろいと思うようになった。
年を重ねると許容範囲が広がったり、違う視点からも見ることができるってこと?

映像と文学、エロティシズムへのアプローチの仕方はそれぞれにある。
カワバタの原作には、独自の世界がある。
「秘密の宿」 の ”深紅のびろうどのかあてん” に囲まれた部屋。
この部屋の描写がうまい。
この小説では、この部屋自体がこの世ではない別の世界なのだ。

また、夜ごと違う眠れる美女を、からだや髪の匂いや肌触りを描写することで個別化する。
ある娘は赤んぼの乳の匂いがし、ある娘は足のうらの皮が厚かったりする。

――女は 「安心出来るお客さま」 と言ったが、この家に来るのはみな
「安心出来るお客さま」 のようだった。もう男でなくなってしまった老人だった。


江口は女の言う 「安心出来るお客さま」 ではまだない。
後半、若い娘が「きむすめ」 であることがわかった時、この宿の暗黙のルールに反抗して、江口の中に暴力的な衝動が湧き起る。
娘は眠っているのだから、何の抵抗もしないはず。
などという件りが何ともいえずスリリングであった。

しかし江口は、自分が 「安心出来るお客さま」 になるのはそう遠いことでないことも、さらにその先に 「死」があることも分かっている。

「老人は死の隣人である」
この作品は 「死の匂い」がする。
眠れる美女もある意味、ネクロフィリアととらえることも可能だ。
が、同時に「生」と「死」は常に隣り合わせにある。ということも感じるのだった。

さて、原作を読み終わって映画化作品と比べてみると、この映画は、原作からかなり脚色された作品であった。
しかし、原作のキモは押さえながら、ちゃんと吉村公三郎作品になっていたという点で、あっぱれ! をあげたいチロなのであった。

尚、新潮文庫の解説を三島由紀夫が書いている。

――「眠れる美女」は形式的完成美を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た
芳香を放つデカダンス文学の逸品である。

なんかよくわかんないけどかっちょいい。

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