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サンジャックへの道 - 2010.12.26 Sun
「サン・ジャックへの道」
(2005/フランス/SAINT-JACQUES... LA MECQUE)

聖地・サンティアゴまでの巡礼路を一緒に歩くことが遺産相続の条件だと知らされた仲の悪い3兄弟は、遺産を貰うために渋々旅を始めるが…。
『赤ちゃんに乾杯!』のコリーヌ・セロー監督が手掛けたハートウォーミングなドラマ。
観終わった時、 「ああ、観て得したなあ・・・」 と思える作品がまれにある。
これは間違いなくそんな一本。
チロのお気に入り コリーヌ・セロー監督作品なので、おもしろくないわけないわなと思っていたが、予想をはるかに上回って良かった・・・。
出世フリークの会社社長ピエール、高校教師のクララ、アル中無職のクロード、資産家の母が死に遺言書に、三人がスペインの聖地サンチアゴまで徒歩で巡礼の旅をしたら遺産を与えると記されていた。
仲の悪い三人はいやいや巡礼者のグループに加わるが――
このあらすじを読むと誰しも、「ああ、旅を通して三人が仲良くなる話ね。ベタじゃん」 と思うわよね。チロも思った。
でもそこはフランス映画、コリーヌ・セローなのよ。
一筋縄ではいかない展開になっているわけ。
つかみ合いの兄弟ゲンカ
物語は 「メタファー」 に満ちている。
たとえば 「荷物」 :
ガイドのギイから事前に 「旅に必要なものリスト」 を渡されるが、金持ちのピエールは必要以上の私物を持って来る。
一方、文無しのクロードは手ぶらでやって来る。
「2カ月の旅、何の準備もないわけにはいきませんよ」 と言うギイに、
「なんとかなるさ」
いざ旅が始まると、ピエールは自分の荷の重さに苦しみ、”持たざる者” クロードは身軽に歩き続ける。
この巡礼の旅は、自分の足で歩くしかない。
金持ちも貧乏人も、この旅においては平等なのだ。

一行三兄弟の他のメンバーに、高校を卒業したばかりの男女4人がいる。
校長の娘カミーユのことが好きなサイード、彼女を追いかけて旅に参加したのだ。ラブはどうなるのか?

サイード役 Nicolas Cazalé くん、
実はイケメン&マッチョだった☆
サイードの従兄弟ラムジイは失読症で字が全く読めない。その上 (PC的に問題ある表現で言うと) ちょっとバカだ。
だけどラムジイは純粋で、旅の一服の清涼剤的存在となる。
旅の間、高校教師のクララはラムジイに字を教える。少しずつ成長するラムジイも微笑ましいが、このことでクララ自身も実は救われて行く。

ことほどさように、この物語のいいところは、三兄弟だけの旅でなく、ガイドのギイを含む9人の物語にしたところにある。
9人は多かれ少なかれ問題を抱えている。
旅を通じて自分と向き合い、自分を見つめ直すことになる。
また、名前からわかる通り、サイードたちはアラブ系のイスラム教徒。
(イスラム教徒がキリスト教の聖地巡礼の旅!?)
その辺の 「なんでもあり」 みたいなとこもいいんだよね。
この過酷な旅は、9人が足並み揃わないと先に進めない。
進むにつれ、9人は励まし合い、助け合い、絆を深めて行く。
しかしこの旅、ほんとに過酷だ。フランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ まで2ヶ月1500キロって、全く見当がつかないけど、朝起きて日暮れに宿に着くまで一日歩き通し。毎日。
欧米では人気のツアーらしい。この巡礼路は世界遺産でもあり、美しい風景が楽しめる。
さて、三兄弟は無事に旅を終え遺産を手にすることは出来るのか?
兄弟は関係を修復することが出来るのだろうか?
(なあんてことはもはやどうでもよくなってしまうのだが)
ゴール間近の終盤からうるうるしっぱなしだったが、最後に旅が終わった後の9人の様子が駆け足で映し出される。
ここで大泣きしてしまった。
人生って素晴らしい!と思える一作。
===
医師の鎌田實とコリーヌ・セロー監督の対談記事を読んだ。
――(鎌田)観終わって一番最初に感じたのは、”幸せってなんだろう” ということ。
この映画では、9人の現代人が巡礼に出て、それぞれ幸せを見つけていく。
それもモノや金には換算できないかけがえのない ”幸せ” を。
この映画のすべてを鎌田先生が語ってくれましたよ! それだ!
それに応えて、コリーヌ・セロー
――幸せのひとつに、”時間” があるかも知れません。
アメリカ人やフランス人は以前に比べ、より自分の為に時間を使うようになりました。
ところが日本人は、仕事はもちろん、私生活でも必要以上に忙しくしているように私の目には映ります。
これでは心が休まることはありません。
おっしゃる通りでございます。幸せ=「時間」 という概念はちょっとなかったな。
さすがバカンスを1ヶ月も2ヶ月も取るお国柄なりよ。
「時間」に対しての考え方を、日本人もこれからはちょっと考えるべきかもね。
効率ばかり考えてないでさ。時間の豊かな使い方とでも言えばいいのか。
なんてことをあれこれ考えさせられる作品でした。
(2005/フランス/SAINT-JACQUES... LA MECQUE)

聖地・サンティアゴまでの巡礼路を一緒に歩くことが遺産相続の条件だと知らされた仲の悪い3兄弟は、遺産を貰うために渋々旅を始めるが…。
『赤ちゃんに乾杯!』のコリーヌ・セロー監督が手掛けたハートウォーミングなドラマ。
観終わった時、 「ああ、観て得したなあ・・・」 と思える作品がまれにある。
これは間違いなくそんな一本。
チロのお気に入り コリーヌ・セロー監督作品なので、おもしろくないわけないわなと思っていたが、予想をはるかに上回って良かった・・・。
出世フリークの会社社長ピエール、高校教師のクララ、アル中無職のクロード、資産家の母が死に遺言書に、三人がスペインの聖地サンチアゴまで徒歩で巡礼の旅をしたら遺産を与えると記されていた。
仲の悪い三人はいやいや巡礼者のグループに加わるが――
このあらすじを読むと誰しも、「ああ、旅を通して三人が仲良くなる話ね。ベタじゃん」 と思うわよね。チロも思った。
でもそこはフランス映画、コリーヌ・セローなのよ。
一筋縄ではいかない展開になっているわけ。

つかみ合いの兄弟ゲンカ
物語は 「メタファー」 に満ちている。
たとえば 「荷物」 :
ガイドのギイから事前に 「旅に必要なものリスト」 を渡されるが、金持ちのピエールは必要以上の私物を持って来る。
一方、文無しのクロードは手ぶらでやって来る。
「2カ月の旅、何の準備もないわけにはいきませんよ」 と言うギイに、
「なんとかなるさ」
いざ旅が始まると、ピエールは自分の荷の重さに苦しみ、”持たざる者” クロードは身軽に歩き続ける。
この巡礼の旅は、自分の足で歩くしかない。
金持ちも貧乏人も、この旅においては平等なのだ。

一行三兄弟の他のメンバーに、高校を卒業したばかりの男女4人がいる。
校長の娘カミーユのことが好きなサイード、彼女を追いかけて旅に参加したのだ。ラブはどうなるのか?

サイード役 Nicolas Cazalé くん、
実はイケメン&マッチョだった☆
サイードの従兄弟ラムジイは失読症で字が全く読めない。その上 (PC的に問題ある表現で言うと) ちょっとバカだ。
だけどラムジイは純粋で、旅の一服の清涼剤的存在となる。
旅の間、高校教師のクララはラムジイに字を教える。少しずつ成長するラムジイも微笑ましいが、このことでクララ自身も実は救われて行く。

ことほどさように、この物語のいいところは、三兄弟だけの旅でなく、ガイドのギイを含む9人の物語にしたところにある。
9人は多かれ少なかれ問題を抱えている。
旅を通じて自分と向き合い、自分を見つめ直すことになる。
また、名前からわかる通り、サイードたちはアラブ系のイスラム教徒。
(イスラム教徒がキリスト教の聖地巡礼の旅!?)
その辺の 「なんでもあり」 みたいなとこもいいんだよね。
この過酷な旅は、9人が足並み揃わないと先に進めない。
進むにつれ、9人は励まし合い、助け合い、絆を深めて行く。
しかしこの旅、ほんとに過酷だ。フランスのル・ピュイからスペインの西の果て、聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ まで2ヶ月1500キロって、全く見当がつかないけど、朝起きて日暮れに宿に着くまで一日歩き通し。毎日。
欧米では人気のツアーらしい。この巡礼路は世界遺産でもあり、美しい風景が楽しめる。
さて、三兄弟は無事に旅を終え遺産を手にすることは出来るのか?
兄弟は関係を修復することが出来るのだろうか?
(なあんてことはもはやどうでもよくなってしまうのだが)
ゴール間近の終盤からうるうるしっぱなしだったが、最後に旅が終わった後の9人の様子が駆け足で映し出される。
ここで大泣きしてしまった。
人生って素晴らしい!と思える一作。
===
医師の鎌田實とコリーヌ・セロー監督の対談記事を読んだ。
――(鎌田)観終わって一番最初に感じたのは、”幸せってなんだろう” ということ。
この映画では、9人の現代人が巡礼に出て、それぞれ幸せを見つけていく。
それもモノや金には換算できないかけがえのない ”幸せ” を。
この映画のすべてを鎌田先生が語ってくれましたよ! それだ!
それに応えて、コリーヌ・セロー
――幸せのひとつに、”時間” があるかも知れません。
アメリカ人やフランス人は以前に比べ、より自分の為に時間を使うようになりました。
ところが日本人は、仕事はもちろん、私生活でも必要以上に忙しくしているように私の目には映ります。
これでは心が休まることはありません。
おっしゃる通りでございます。幸せ=「時間」 という概念はちょっとなかったな。
さすがバカンスを1ヶ月も2ヶ月も取るお国柄なりよ。
「時間」に対しての考え方を、日本人もこれからはちょっと考えるべきかもね。
効率ばかり考えてないでさ。時間の豊かな使い方とでも言えばいいのか。
なんてことをあれこれ考えさせられる作品でした。
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