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波に流れて - 2010.08.06 Fri

「波に流れて」
(2009/ペルー+コロンビア+フランス+ドイツ/Contracorriente/UNDERTOW)


under04.jpg


ひなびた漁村で、身重の妻と共にわが子の誕生を待つ漁師のミゲル。だがミゲルには、誰にも言えない秘密があった。都会育ちの愛人、画家のサンティアゴの存在だ。密会を繰り返す度に、彼への愛情が深まるミゲル。そんなある日、事件が起った。サンティアゴが波に流されてしまったのだ。ミゲルの新たな苦悩が、その日から始まった。


【第19回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(2010)上映作品】


今年のクロージング作品です。
思えばクロージング作品を見たのは初めてかも。




南米のどこか(ロケ地はペルー)、ひなびた漁村が舞台。
始まって早々サンチアゴが死んでしまって、この話はどうなるのかと思ったら、サンチアゴが亡霊となって現れる。
亡霊といっても生きている時と全く同じ。

生前サンチアゴは自分の思いをストレートにミゲルにぶつけて来た。
一緒に旅行もしたい。もっと一緒にいたい。
しかしミゲルは妻子がある、周囲の目がある。
第一俺はゲイじゃない、と突っぱねる。
都会から来たサンチアゴと漁村育ちのミゲル。
生まれ育ったところも価値観も違う二人。

が、サンチアゴの亡霊はミゲルだけにしか見えない。
通りを堂々と手をつないで歩いたり、浜辺で裸でじゃれ合ったり。
彼が死んで初めて、”ふつーの”恋人同士のようにふるまえる。
楽しそうなミゲルになんだかせつなくなった。

under01.jpg


待ちに待ったこどもが生まれ、ミゲルは嬉しくてしょうがない。
一方、姿を消したサンチアゴとミゲルの仲が村の噂になり、ミゲルは否定する。
これからは親子三人でやって行こうと妻に言ったミゲルだったが、サンチアゴが ”死んだ”ことでかえって自分の心にうそがつけなくなる。
そんな時サンチアゴの遺体が上がったという報が――

妻子を置いて、周囲の目に臆することなく、サンチアゴが望んでいた水葬を自ら行うことに決めたミゲル。
一人喪服を着て初めてサンチアゴの家に行ったミゲルは、そこで夥しい数の自分を描いた画を見る。
サンチアゴがどれだけミゲルを愛していたか。

<ニューシネマパラダイス> のラスト、カットされたキスシーンの数々をちょっと思い出した。

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]
(2009/06/19)
フィリップ・ノワレサルヴァトーレ・カシオ

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冒頭、ミゲルのいとこの水葬シーンがある。
ミゲルが取り仕切り、彼が一人見送った。
これが布石になっており、映画のラスト、やはりミゲルが一人サンチアゴを見送る。
二人の思いがこもった静かなラストシーンだった。

時が止まったかのようなひなびた漁村、海の風景が美しい。
いつの時代? と思っていると、サンチアゴの家では高速プリンターがデジタル写真をプリントし、ケータイ電話もある。
え、これって現代の話だったんだ・・・。そのギャップがおもしろかった。

under02.jpg


この村では人々はシンプルでプリミティヴな生活をしている。
それゆえにミゲルはサンチアゴの魂を受け止めたのではないか。(もし都会に住んでいたら、自分にも妻にもウソをついて生きてたかも?)
しかし、村というのは閉鎖的なところだ。この後ミゲルはどうするのか?
妻と子は? ・・・
自分に正直に生きるということは、同時に誰かを傷つけることでもあるのだ。
妻と子のことを考えると複雑な気持ちもするのだった。

2010年サンダンス映画祭観客賞(ワールドシネマ部門)
2010年マイアミ国際映画祭観客賞 受賞作品。
観客賞というのは、作り手にしたら一番嬉しいのではないでしょうか。

under03.jpg
ハビエル・フエンテス・レオン 監督とミゲル役 Cristian Mercado

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