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昼 顔 - 2008.04.01 Tue

「昼 顔」
(1967/フランス/Belle de Jour)


BELLE_DE_JOURBELLE_DE_JOUR
(1997/07/25)
カトリーヌ・ドヌーブ

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パリの高級住宅地で暮らすセヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と外科医のピエールは、誰の目から見ても幸福な夫婦である。
しかし、セヴリーヌは夫を愛する一方で、妖しい性的妄想にとらわれている。
ある日、彼女は上流夫人たちが昼間だけ売春をしている家があると知り、情欲を押さえ切れずにその家に足を踏み入れる。
こうして、昼は娼婦、夜は貞淑な妻というセヴリーヌの二重生活が始まった…。

発表当初センセーショナルな反響を巻き起こしたジョゼフ・ケッセルの小説を映画化。
ルイス・ブニュエルとジャン=クロード・カリエールが脚色。
貞淑な妻の内側に潜む淫らな欲望を、現実と妄想が入り乱れたブニュエルお得意のシュールな映像で見せる。


昔、ルイス・ブニュエルにはまった時期があった。
これはたしか、千石にあった 三百人劇場での特集上映で観たと記憶する。
今回、リピート鑑賞しましたら、例によってすっかり忘れてました。
あらためて、わくわくと観る事ができました。やっぱり秀作。スキ。



シャンシャンという鈴の音と共に、馬車が森の小径を走っている。
馬車の上のピエールとセヴリーヌ、「愛してる」 などと言い合い、甘いムード。
が、「君の冷感症が治ったら、完璧なのにね」 ピエールは冷たく言い、セヴリーヌを馬車から引き摺り下ろす。
彼女の手を縛り、服を引き裂き、御者二人にむちで打つように命じる。
「後はおまえたちの好きなようにしていいよ」

ここで目覚めるセヴリーヌ。

―― 又、馬車の夢をみたわ

この冒頭のシーンが、物語全ての象徴となっている。
この夢は何を表しているのか?
フロイト的に言うと、どうなるのか? などと考えてみたくなる。
以降、セヴリーヌの夢とも妄想ともいえるシーンが、現実と交錯する。
そこでは、セヴリーヌは、縄で縛られ、泥を浴びせられ、汚される。
彼女のマゾヒスティックな願望のあらわれといえる。

belle12.jpg
(セヴリーヌ 妄想中)

――彼女、体を売っているのよ。
   信じられる?
   どんな男とでも寝るなんて、ゾッとするわ。
   老人や変態でもよ。


ある日、ある女ともだちの噂を聞く。
そして、導かれるように、オペラ座裏 <アナイスの館> の扉を叩く。

もうこの辺が、ドキドキしちゃって、たまらないです。
2時から5時の間だけ、彼女はセヴリーヌでなく、<昼顔> になる――

二人目の客は、名医といわれる婦人科医で、”奥様” のハイヒールで顔を踏んづけてもらいたいマゾヒスト。
そのプレイがよくわからず、となりの部屋の「のぞき穴」から見て勉強するようにマダム・アナイスに言われる。
トップ画像は、のぞき穴をのぞいているセヴリーヌの図である。

三人目の客、スモウ・レスラーのようなガタイのいい日本人。
持参の小箱を見せる。 
belle144.jpg
「あら」
小箱の中には何が入っているのか? 観客にはわからない。

コトが終わると、涼しげな顔でさっさと帰って行き、残された昼顔は、ぐったりしながらも
「最高に感じたわ」 と言う。
(澁澤龍彦先生は、あの箱には ”奇妙な性具” が入っており、それで彼女を精も根もなくくたくたにしてしまったのだという)

belle133.jpg


こういったシーンの積み重ねが、ブニュエルじいさんらしく心憎い。

さて、冒頭の鈴の音は、劇中何度か鳴るのだが、これはセヴリーヌの <官能>の予兆であることがわかる。不感症であるが為、夫との夫婦生活は拒絶しているセヴリーヌであるが、昼顔として官能に目覚めていく。

たとえば、先ほどの日本人は、部屋に入ると、(なぜか)手に鈴を持っていて、それを鳴らすのだ。
鈴の音の後、ムチ打たれ、身分卑しい御者に凌辱されるという冒頭のシーン。
セヴリーヌのマゾヒスティックな願望が充足される。 <充足>の音でもある。

<官能>を音に例えるというのは、三島由紀夫 <音楽> と同様である。
冷感症の女主人公の症状を 「音楽が聞こえない」 としている。
原因がわかり、それを克服した主人公は、最後に 「音楽なりやまず」 と終わるのではなかったか。

音楽 (新潮文庫 (み-3-17))音楽 (新潮文庫 (み-3-17))
(1970/02)
三島 由紀夫

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ある日、夫の友人 アンリ・ユッソンが館に客としてやって来る。
セヴリーヌ 絶体絶命。

――どうか私を理解して。
   悪い事だと知りながらやめられないの。
   きっといつか罰を受けるわ。


そして、ジャック・ナイフのようにキケンな男 マルセル、昼顔に夢中になる。
潮時と見たセヴリーヌは店を辞めるが、マルセルに自宅をつきとめられ――


先ほども名前を挙げたが、澁澤龍彦先生は、著作 <スクリーンの夢魔>で、
「『昼顔』 あるいは黒眼鏡の効用について」 という一文を書いている。


Belle15.jpg



先ほど、セヴリーヌ=ドM と書いたが、澁澤センセによると――

――今にして思えば、ブニュエルという男は、女性を暴力によって弄び、いじめ抜く
   ことに60年間、異常な執念を燃やした男なのであった。


ブニュエル自身が、稀代のサディストであったのか。
うーん、目からウロコ。
又、この作品では、靴フェチのブニュエルじいさんらしく、靴=足元のアップが多用されている。
マルセルが自宅に押しかけてきた時、セヴリーヌは居間でいそいそと買い物包みを開けているが、中から出て来たのは、黒いハイヒールである。

belle20.jpg
この靴もエレガントで好みのタイプ

澁澤センセはお気に入りだが、私はカトリーヌ・ドヌーヴが苦手だ。
この人の顔を見ていると、「死美人」としか思えない。
この人に、赤い血が通っているとは思えない・・・。
澁澤センセは彼女をこう評している。



―― 一言をもってすれば、彼女はサデイスト向きの女、― つまり、いじめてやりたいという欲求を男に起こさせるような女のタイプなのだ。
彼女がかつて 映画 <悪徳の栄え> の妹娘 ジュスティーヌ役に抜擢されたのも、決して偶然ではなかったということになろう。 
姉のフランソワーズ・ドルレアックは、自動車事故であっけなく死んでしまったけれども、彼女の方は、そう簡単に死ぬことはあるまい。 
見かけによらず、芯が強そうである。 
そうでなければ、サデイストにとって、いじめ甲斐がない。






belle22.jpg
姉 フランソワーズ・ドルレアック と ドヌーヴ

ピエール役 ジャン・ソレルは若い時分に観た時は、「まあ、ハンサムね」 なんて思ったけど、今回観たら、 「ハンサムだけど・・・それで?」 ってかんじだった。
時が流れ、時代が変わったせいか? それとも、自分の好みが変わったせいか? 
(どんどん熊やオヤジの方にシフトしてる自覚あり)

belle111.jpg


私は苦手だが、このドヌーヴは美しい。
サンローランの衣装も素晴らしいです。
40年も前の作品なのに、全く古臭くないのです。



belle211.jpg

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