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MW - 2009.09.13 Sun

「MW」 手塚治虫

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(出版社からのコメント)
「MW」を全世界にばらまくため、次々と罪を重ねてゆく男と、それを阻止しようとする神父。愛し合いながらも、彼らは闘わねばならない。作者には珍しいピカレスク物が大迫力で描ききられる。



ずいぶん前から 「チロちゃん、これ読んでみるべし」 と勧められながら、なぜかずるずると先延ばしにしていた。
やっと読んだ。

私の中では漫画というのは、小説に比べ読みやすく、あっちゅーまに読み終わるものという認識があったが、これはやたらと時間がかかった。

今ごろ スイマセン。





美貌のエリート銀行マン 結城美知夫は実は稀代の殺人鬼。
友人 賀来 巌(がらい いわお) は神父、彼を ”悪霊” から救おうとするが――


のっけから結城と賀来の ”禁断の関係” が描かれ、 ギョエッ!!! となる。
そうか、私への 「強力プッシュ!」 はこれか!

”これ” をはじめとして、この作品には数多くの ”タブー” が描かれている。
タブーに挑戦し続けた手塚治虫らしい一作と言えるだろうか。

この物語の発端は、16年前に起きたある事件にある。
南の島で某国の軍事貯蔵庫からもれた毒ガスにより、島民全員が死亡。しかし、事件は隠蔽された。
その時たまたま島に居合わせ生き残った二人が、結城と賀来であった。
しかし、幼かった結城はガスの影響で心身を冒され、その心には一片の良心やモラルのかけらもなくなってしまう。
その毒ガスこそが 「MW」 であり、結城はそれを手に入れる為に次々と悪事を重ねて行く――


この作品の一番の魅力は、 「センチメンタル」 な部分が一切排除された点にある。
前述の如く、結城はMWに大脳を冒された為に、躊躇も罪悪感もなく人を陥れ殺して行く。
又、MWを手に入れたいという理由も、「世界を変えたい」 とか 「革命を起こそう」 などというものでなく、全人類を (MWの為に余命いくばくもない) 「自分のみちづれ」 にするというもの。
そのスコーンと抜けた動機付けがこの話を 一大ピカレスク・ロマン にしていると思う。

小学館文庫の解説を花村萬月が書いている。
善と悪という二元論で割り切るべきではない。
そこには手塚の、単純な二元論を克服しようという意志がある、
としている。

たしかに、悪=結城 に対して、神父の賀来 という対比は鮮やかだが、賀来がけして 「善」 であり、「聖」 であるわけではない。
彼は結城により、肉欲に溺れ、時に悪事の片棒を担ぐことになる。
結城は、善と悪の境界線をあいまいにする。

また、「MW」 というのは、「MAN&WOMAN」 の組み合わせとも言われていて、女装し、男女見境なく寝てしまう結城のことを指している。
ことほどさように、結城の存在は、男女という二元論をも軽々と克服しているのだ。

血の通っていない結城だが、賀来と二人きりの時だけ別の顔を見せる。
賀来こそ結城のすべてを知り、まるごと受け留めてくれる存在なのだ。
賀来に甘える結城がとってもかわいい。
その顔が一番印象に残っているなあ。
賀来は神父らしからぬ風貌:いわゆるSG系(=スーパーガッチリ)&短髪で、結城より10歳位は年上。
そのキャラクター設定が、実に活きているのだ。

手塚治虫作品ってそれほど読んでいるわけじゃないけど、奥が深いなあと今さら思ったチロなのであった。
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