2017-10

美しい人 - 2008.02.04 Mon

「美しい人」
(2005/NINE LIVES)


美しい人 デラックス版美しい人 デラックス版
(2007/02/23)
キャシー・ベイカー、エイミー・ブレナマン 他

商品詳細を見る


娘との面会を心の支えにしている刑務所に服役している女性、かつての恋人と偶然再会し、告白される妊婦、父親に愛されなかったトラウマに苦しむ家出娘、心がすれ違い、傷つけ合う夫婦、冷めた関係の両親の心をつなぐ愛娘など、女性をめぐる9つのエピソードでつづられたオムニバス。
『彼女を見ればわかること』のロドリゴ・ガルシア監督が、女性たち、夫婦、家族、それぞれのエピソード約10分の物語に凝縮。


前作 <彼女を見ればわかること> がおもしろかったので、この作品の公開を楽しみにしていました。
が、例の如く、劇場で見逃して、やっとDVDで観るのだった。

前作から人数が倍近く増え、9人の女性の、9話のエピソード。
一話は、10分ちょっと。
一話はあっという間に終わるが、中身は濃い。
観た人は、さながら 「短編小説集」のようだと思うだろう。


”短編” なので、説明的ショットはない。
人物紹介、背景説明の省略、こういうところが不親切で苦手だ、という人も多いかも知れない。

一番印象的な 第2話 「ダイアン」

NINE01.jpg


夜のスーパーマーケットで、大きいおなかのダイアンは、昔別れた恋人 ダミアンと再会する。

――久しぶりね。
――お、予定日はいつなんだい?

といった他愛ない話があり、

――懐かしいよ。 今度お茶でもどうかな。
―― ・・・
――あ、いいんだ。 気にしないで。


と、ちょっと穏やかではない空気になる。

彼女の沈黙に、観客は想像することになる。
一体どういう別れ方をしたのか?
二人には何があったんだろう?

じゃ、また と別れを告げ、買い物に戻るダイアンだが、心は乱れ、店の中にダミアンの姿を探す。
再び、合流した二人。

――今でも君のことを想ってる

動揺するダイアン。
元カレと再会するだけでも十分複雑な気持ちなのに、こんなこと言われた日にゃあ、どうしたらよかんべか(どこの人?)。

複雑な思いが絡まり、見つめ合う二人。 接近! 接近!
こんな店の中で、キスしちゃうのお? と思っていると、
すっとダミアンの唇は下の方にずれ、ダイアンの大きなおなかへ。
愛しげにおなかにキスするダミアン。

こことってもいいシーンだだった。
はぐらかし方もニクい!

ロビン・ライト・ペンの心揺れ動く様が、せつなくも素晴らしい。
ダミアン、何気なくナイッスミドルでステキだった。
アメリカのスーパーマーケットが大好きな人、楽しめます(私のことだけど)。

(ロビン・ライト・ペンは、離婚後もこの名前を使い続けるのか?)


第9話 「マギー」

NINE04.jpg

のどかにピクニックしている風景だが、墓参りなのだ。
マットを広げ座るマギー(グレン・クローズ)とマリア(ダコタ・ファニング)。

――サンドイッチある?
――それよりもっといいものがあるわよ、ほら!
――ブドウ! 覚えていてくれたのね!


こういうお墓参りっていいなあ。
なんて思っていると――

どう考えても、おばあちゃんと孫だと思っていたのに、グレン・クローズをママだという。
いくつの子だよ!? どんな不妊治療だよ?! と、疑問がわいてくる。(→これが伏線)

また、この9話目は、のどかな風景の中で、哲学的な話をしたりする。

――どうして誰もいないの?
――前は訪れていた人も、年を取って死んだのよ。


ああ、私が死んでしばらくしたら、お墓に来てくれる人は誰もいなくなるのかしら?
などと考えたりしてしまった。

――去っていくのよ、何もかも。 過ぎて行く・・・。
  ここに眠る人たちも、厄介な荷物を背負い生きて来た。
――荷物って?
――その人の人生のあらゆるものよ。
  その重さにくじけそうになる。
  ・・・
  もう疲れたわ・・・。


なんだか 「諸行無常の響きあり」 「いく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」 なスピリットだわね。

私はするっと見終わったのだが、沢木耕太郎の映画評を見たら、この話にはオチがあるという。
すいません、全くわからなかったんですけど・・・。
と、もう一度見直してみた。

・・・

わかった・・・。
泣けた・・・。
しみじみと泣けました・・・。

――あっ、落っことしちゃった!
  食べられる?
――フッと吹いて食べなさい。


とか

――おしっこしたくなっちゃった・・・。
――ほら、さっきトイレは大丈夫?って聞いたわよ。
  あそこの木の陰でしてらっしゃい。


といった ”ある一時期のこども” との会話が微笑ましく、たまらなく愛しい。
(→実はこれも伏線。最初は気づかなかった!(恥)
なぜこういったセリフが必要だったのか。
こういうところがうまいなあ、この脚本。
愛しくて泣けてくる・・・。
ダコタ・ファニングがまたうまいんだわ。
もちろん、グレン・クローズ もいい。
このグレン・クローズ、今まで見た中で一番きれいだった。
歳を重ねた女性の持つ美しさっていうのかな。
こういう空気を出せるって、やっぱりすごい人なのね。

===

ここに出て来る女たちは、皆一様に 「疲れている」。
9話のマギーの言葉に象徴されるように、「人生の重い荷物を背負って生きている」のだ。
どんな人でも、ここの ”誰か” に共感するのではないかと思う。
但し、前作同様、大人の女性限定作品。
若い人が見てもこの映画の良さはわからないよ。

しかし、何かひとつくらい、前作のように軽味のある話を入れても良かったのでは?
こちらの方が 「辛口・上級者向け」 なので、観るなら前作からをお勧めしたい。

前作同様、各話 登場人物が微妙にリンクし合う。
3話「ホリー」で、最後の最後に登場した パパは、1話の刑務所の看守のおっさんだったり。
そのホリーは、8話で看護師としてちらっと登場、といった具合。
「ああっ、これさっき出て来た人じゃん!」 というお楽しみがある。
なかなか気が利いているのだが、さり気なさ過ぎて気づかないこともあり、かも。

この作品は、ワンシーン・ワンカット、編集が全く加えられていない。
ほとんどが一発勝負で撮られたそうだ。
オスカー女優クラスをそろえた女優たちの卓越した演技のたまものである。
多くが前作と同じ出演者であることも言っておきたい。

これまた、光るセリフが多々あり。

―― 人は誰でも 自分の人生に責任を取らないと



NINE03.jpg
7話の 図体のデカイおっさん エイダン・クインだったのねえ~ わかんなかったよー

第3話に、<デスプルーフ IN グラインドハウス> に出た 
シドニー・タミア・ポワチエ も出ています。 かわいい☆

NINE05.jpg



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