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夜 顔 - 2008.04.04 Fri

「夜 顔」
(2006/フランス・ポルトガル/BELLE TOUJOURS)


よるがお01


パリのコンサート会場で、アンリ(ミシェル・ピコリ)は今は亡き友人の妻・セヴリーヌ(ビュル・オジエ)と偶然再会をする。
彼女の後を追うアンリだったが、過去のことを忘れたいセヴリーヌは彼から逃げまどう。
やっと彼女のことをつかまえたアンリは、未だ彼女には明かしていない過去の秘密を打ち明けたいという口実で、半ば強引にディナーへとこぎつけるが…。
ポルトガルの巨匠、マノエル・ド・オリヴェイラが、ルイス・ブニュエル監督にオマージュを捧げ、カトリーヌ・ドヌーブ主演『昼顔』の38年後を設定に大人の駆け引きを描く。



先にUPした <昼顔>は、実はこれを見る為の予習復習だったのです。
この作品を知ったのは、新聞の映画評欄で、「まあ、じじばばの出るヨーロッパ映画ね」とスルーしようとしたら、なんと、<昼顔>の38年後を描いた、というではないか!?
これは行かなくちゃ、いやその前に、<昼顔>を見直して・・・などと言っていたら、銀座でのロードショウが終わり、今回二番館でやっと見ることが出来ました。

10:10 @下高井戸シネマ モーニングショウ
 


仕事を休んでいったのですが、平日のこんな時間誰が来るのか?と思っていたら、思いのほか盛況で驚きました。
世田谷線、線路沿いの桜も美しく、みんなが仕事をしている時間にこんなところでぶらぶらして気持ちいいなあ、と思ったのだった。
冒頭、ドヴォルザーク<交響曲8番> ローレンス・フォスター指揮 グルベンチアン管弦楽団による演奏に、自分もヨーロッパの街に来て聴いているような気になる。
この会場で、アンリ・ユッソンは親友の未亡人 セヴリーヌをみかけ、声をかけるのだが、避けるように去られてしまう。
以降、見かけては逃げられ、追いかけるという、まるで<不思議な国のアリス>の白うさぎとアリスのように、ユッソンはパリの街をさまよう。
やっと彼女をつかまえたアンリは、過去の ”真実” を打ち明けたいと、ディナーの約束を取り付けたのだった。

さて、この作品を観に来ていた人は皆 <昼顔> を観ていたのだろうか?
前回、<昼顔> の記事でのこの件り――

そして、ジャック・ナイフのようにキケンな男 マルセル、昼顔に夢中になる。
潮時と見たセヴリーヌは店を辞めるが、マルセルに自宅をつきとめられ――


この先を書かなかったのだが、この先が今作品の核心となる。
評論などでこの先の展開は明らかになっているし、それが分かったところでこの映画の価値になんら影響しないと思うので、この先を記したい。

「こいつさえいなけりゃ、昼顔は俺だけのものだ」 と頭に血が上ったマルセルは、帰宅したピエールを銃で撃つ。
一命を取り止めたピエールだが、半身不随になり、視力を失う。
甲斐甲斐しく世話をするセヴリーヌの元へ、アンリが訪ねて来る。
「君の秘密をピエールに話そうと思う。彼は自分の不自由な体を君に申し訳なく思っている。
もし君の秘密を知ったなら、彼の気持ちは楽になるに違いない。 いいね。」
うなずくセヴリーヌ。 ピエールの部屋に入るアンリ。
しばらくしてアンリは帰って行き、セヴリーヌは部屋に入る。
すると、ピエールは一筋の涙を流し――
(実はこの後さらに展開があるのだが・・・)

今回、アンリが言う 「過去の真実」 というのは、この時アンリはピエールに何を言ったのか、彼はそれをピエールに話したかどうか、である。
ヒロイン セヴリーヌはそれが知りたい。 だから、強引な申し出に応じる。
さて、アンリは何をどう彼女の話すのか?

よるがお04


<昼顔> でのアンリ・ユッソンは、非常にユニークなキャラクターだ。
リッチで遊び慣れた変わり者、美しいセヴリーヌにご執心で、隙あらば口説こうとし、彼女は彼を毛嫌いしていた。
<アナイスの館> の在り処を彼女に教えたのも彼である。
彼はこの時既に、彼女の ”内奥の秘密” を見抜いていたと思われる。
とにかく、人を喰った、一筋縄ではいかない男、アンリ・ユッソン。
ミシェル・ピッコリ ぴったりのキャスティングだった。
そして38年後、彼が健在で、この映画に出てくれたことを神に感謝したい気持ちだ。
<昼顔> で若い彼を見たばかりだったので、時間が一足飛びに38年流れ、不思議な気持ちだった。
この時、81歳。
さすがに年取ったなあ。

クライマックスのデイナーの前に、アンリはとあるバーで、若いバーテン相手に、38年前の話をする。
そこで様々な考察をすることになる。

――彼女は夫を愛していた。
   だが奇妙なことに、愛するが故に、秘かに夫を裏切っていた


ほお、なるほど そういうことだったのか・・・といろいろ思うところはあるが、それはあくまでアンリ・ユッソンの解釈であり、

――女という存在は、自然が生んだ最大の謎だ

なのである。

よるがお03
若きバーテン役 リカルド・トレパ オリヴェイラ監督の孫
好感のもてるナイッス・ガ~イでした☆


最後は、えっ、ここで終わり!?
上映時間は70分。
そうか、これは大人のかけひきや、秘密、謎 を楽しむ映画なのね。
人生に結論などない、ということなんだな。

アンリが用意したプレゼントの ”赤い箱” など、大人の遊びゴコロが光る。
包みを開けた時、思わず笑ってしまった。
(トップ画像 アンリ・ユッソンの左手の包みご参照)

セヴリーヌ役 ビュル・オジェの衣装は、エルメス・プラダ・シャネル・セリーヌというゴージャスさ。
デイナーの時のジュエリーは、ヴァンクリーフアペルだった。

よるがお02

パリの香り高い大人の一作。
監督のマノエル・ド・オリベイラは、今年100歳。
この映画は、彼が98歳の作品である。
よくもまあ、こんな映画を作ってくれたものである。
これまた神に感謝したい。

今回行った 下高井戸シネマ。 昔は 「下高井戸京王」という名称だったよね。
最近、昔の名画座は、趣向を変えて生き残りに必死です。
名画座といえば、「2本立てで低価格」 でしたが、最近はその辺りの役割はレンタルショップに任せ、独自の路線を走っているようです。
下高井戸シネマではこの日、モーニングショウが <夜顔> で、アフタヌーンショウと称して 12:05から <エンジェル>、メイン <やわらかい手> を3・4回上映後、レイトショウで<PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン>。
すごいですねえ。 スクリーンは一つだけど、一日をトータルで見たら、マルチスクリーンですよ。
昔では考え付かないワザですね。
DVDは普及したけど、私のように、映画は大きいスクリーンで観たい、という人も多いはず。
ありがたいです。

前回引いた、澁澤龍彦先生は著作でこう書いている。

――映画<昼顔>の結末は、私には、ちょっと納得のいきかねる節があった。
   戦後いちはやく、堀口大学の無削除版の原作の翻訳を読んだが、そこでは、たしか
   セヴリーヌが情夫マルセルをけしかけて、夫ピエールをピストルで撃たせるのでは
   なかっただろうか。
   少なくとも、そのほうが夫婦愛のサド=マゾヒズム状況に関する、論理的一貫性を
   保ち得たはずであろう。
   そのほうが、セヴリーヌは夫の失明の責任を、よりひしひしと身内に感じることが
   出来たはずであろう。
   しかし、ブニュエルには、どうやら結末に曖昧なものを残しておく、ミスティフイカシオン
   (韜晦)の趣味があるように見受けられる。
   平凡なインテリの亭主を失明させ、廃人同様にしてしまうという筋立ては、ブニュエルに
   とって、生理的快感ともいうべき、一つの世界の完成につながる満足感をもたらすもの
   だったに違いない。


いやはや、なんとも深い世界である。
さて、澁澤龍彦先生が生きてらしたら、この <夜顔> を観てどう言うだろうか。



よるがお05
オリヴェイラ監督 元気なおじいちゃん!
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