2017-10

いつか見た人 - 2009.03.17 Tue

「いつか見た人」 香取 俊介

いつか見た人いつか見た人
(2000/09)
香取 俊介

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13年ぶりに再会した女と俺。
夭折した詩人について熱く語った女は、数週間後にひっそりと自殺する…。
改礼口の向こうに待つ様々な人生ドラマを、浅草から渋谷までの地下鉄銀座線に託して紡ぐ12の物語。
(「MARC」データベースより)


朝日新聞 火曜に、<東京物語散歩> というコラムがある。
東京のどこかを舞台にした文学を紹介し、そのゆかりの場所を訪ねるという趣向。
最近ここを見て、「ほお~、読んでみようかな」 と、本選びの助けにしている。

先の記事に上げた、泉鏡花 <外科室> もそれで、もちろんゆかりの地は、小石川植物園。
今回の作品もそんなひとつ。

この作品、地下鉄銀座線沿線を舞台にしたもの。
浅草から渋谷まで主要駅12の物語。

あとがきで作者自身が言っている通り、ロアルド・ダール <あなたに似た人> をもじったタイトル。
物語の方も、ダールっぽい。
ミステリアスでちょっとブラック。時にどんでん返しがある。

あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))あなたに似た人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 22-1))
(2000)
ロアルド・ダール

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どこもその土地の特徴を生かした話になっていて、その描写も、読んでいて容易に目に浮かぶ。
ちょっと Google のストリートビューを見ているような感覚。
東京在住の人間には楽しい。

さて今回の <東京物語散歩> に取り上げられたのは、12話の内の <虎ノ門―純情> である。

虎ノ門にある病院の勤務医 綾子は、ある日通産省の役人を診る。がんの疑いがある男に、更に検査を勧めるが、多忙を理由に帰ってしまう。
その後男と話す内、同郷であることがわかり――男はかつて友人の恋人であったことに気づく。
友人は大学の時に自殺、その理由が結婚を約束していた恋人の裏切りであったと聞いている。今男は社長令嬢の婿養子となっている。
傲慢な男の態度、自殺した友人を思うと、医師としても平静な気持ではいられない綾子は・・・。


この後事態は二転三転していく。

虎ノ門交差点の一角に建つ虎の像。 女医 綾子はふとこの像をみつめ、ある決意をする。

――虎ノ門とは江戸城の外郭門のひとつで、四神思想に基づいて作られた門である。
  虎ノ門そのものは、明治6年撤去。


最近、何度か虎ノ門に行く機会があり、先日この像を見て来た。
こんな像があるなんて、全く知らなかった。 (思ったより小さいし)
東京三菱UFJ銀行向い、「ケテル」の前。

とらのもん

青山石勝作 昭和37年に建立された。



この作者のちょっとレトロなセンスも一興。
実は美術志望だった綾子、物語のラスト。

――メスと彫刻刀を交互にもちかえて、そうだ、わたしの流儀を 
  「純情二刀流」 とでも名付けようか。
  そう思うと珍しく、綾子の胸はトキメクように弾んできた。


「純情二刀流」 「トキメク」 こういうワードが、不思議と銀座線にはぴったりくるかも。
ちなみに作者 香取俊介は 1942年 東京生まれ。 あら、意外にお若い!

我的に好きだったのは、<銀座―恩返し> 
かつて女優であった琴子、今はもう七十代。
ある日銀座和光の前で、偶然かつての助監督と再会する――
ブラック!! 人生のアイロニーを感じる一作。
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