2017-08

スポンサーサイト - --.--.-- --

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

パレード - 2008.12.17 Wed

「パレード」 吉田修一

パレードパレード
(2002/01)
吉田 修一

商品詳細を見る


5人の若者の奇妙な2LDK共同生活を描いた青春小説。
いつの時代も現実は厳しい。でもふさわしい自分を演じればそこは、誰もが入れる天国になる。
5人の生活がオムニバスで綴られる。



文庫版の巻末 川上弘美 の解説がこう始まる。

―― こわい小説だ。
あんまりこわいので、どうしようどうしようと、おたおたしているうちに、
結局あわせて四回も読み返してしまった。



こわいこわいというので、なんなんだ?!
と、思っていたら、読み終わったら、やっぱり
こわかった~!!

こわいというのは、ひとまず置いておいて、本編――

若者の共同生活の話?
ええ~、女が二人いるじゃん。
ちぇ、女が出るのか!?
と、当初思ってましたら、そこは修一ねーさんなので、イヤミなくおもしろく読ませてくれる。

ありふれた日常の風景を、ちょっと違った角度で切り取って見せるという、吉田修一メソッドが如何なく発揮されてます。
いつも通り、小ネタやディテイルがmyツボにはまり、おかしくて、おかしくて笑いながら読みました。

話は五つの章から成る。
五人それぞれの視点で描かれる。
(どれもおもしろいのだが、やっぱりこわいのは最終章だ)

イラストレーター兼雑貨屋店長 未来(24)がいつも飲んだくれてる店が マリネママ のとこだ。
<最後の息子> に出て来た、エンマちゃんの親友 マリネママ が、ちらっと出て来る。
(残念ながら、エンマちゃんは出て来ないよ)

――初めて新宿二丁目の飲み屋に連れて行ってもらった時、ちょっと比喩は陳腐だが、私は天国を見たような衝撃を受けた。
店内のカウンターやボックス席には、まさに食べ頃の果実のような若い男たちがわんさかいて、その誰一人として、私へ視線を向ける者がいなかった。
あの解放感をなんにたとえたらいいのか。
たとえば、私が今ここで素っ裸になっても、店にいる男たちは、ちらっとくらいは見るにしても、素っ裸の私のことなど無視して
「この前、会社の同僚の家に行ったら、GIVENCHYのウリトラマリンがあったんだ」なんて話を延々と続けるんだろうなあと思えた。


この件を読んだ時、がび~ん!! とキた!
私が7年前、青山のレズゲイ映画祭に初めて行った時受けた感覚と全く同じだったからだ。

ここでは、私は ”透明な存在” でいられるんだ。 なんて楽なんだろう、と思った。

「なんだよ、たかが映画見に来てるだけだろ!?」
と言われると、おっしゃる通りなんですけどね。

こんな女心をなんで吉田修一はわかるんだろ?
さすが作家、「見て来たようにモノを言い」 なんだろうか?
それとも、吉田修一ねーさんだからか?

マリネママのとこの ラウラちゃんつうのが、「化粧した織田無道」 みたいな人で、男子高野球部の寮母になるのが一生の夢だと公言している。
なんつーのが笑える。
でもラウラの夢って、近くて遠いね(悲)

悪霊除霊~織田無道 本当にあった呪いの話~第四巻 [DVD]悪霊除霊~織田無道 本当にあった呪いの話~第四巻 [DVD]
(2006/12/22)
心霊

商品詳細を見る

ラウラちゃん?


自称「夜のお仕事」=二丁目の男娼 サトル(18)の章が、おもしろかったな。
何を考えているか、さっぱりわからない、何をやらかすかわからないんだもの。
でも、終わってみたら、5人の中でサトルが一番 <大人> だった。

――サトルって、「小さな恋のメロディ」って映画に出てる男の子に似てない?

って、すげ~美少年じゃん!?
いや、せめて、小説の中に出て来る男娼くらいは、美少年でひとつお願いしたいところです。

MELODY-32.jpg


映画会社勤務 直樹の元カノは、今オヤジ(四十代後半)と同棲していて、そのオヤジが3年前に買ったという晴海の高層マンションの話になった。
何度か遊びに行ったことのある未来の話。

―― うちのマンションとは月とスッポン。
向こうが エリザベス・テイラー なら、こっちは デイヴァインよ。


ぶっは~っ!!!! 思い切り吹きました。
この本で一番笑ったところ。すっごいたとえだよ!! 

elizabeth_taylor.jpg
月です☆


divi1.jpg
スッポンです☆


さて、冒頭に戻って、こわいって、いろんな質があると思うのね。
オカルトホラーとか心理的サスペンスとか。
これのこわさは何なんだろうな。なんていえばいいんだろう。

都会に住む人間のこわさだな。
流行りの服を着て、こじゃれた店で食事して、酒を飲んで――
そこに潜む 「心の闇 」の計り知れない深さの恐怖。
っていってもわかんないよね。(うまく言えないな)
このこわさは、是非読んで味わってほしい。

こういう作品が、山本周五郎賞を受賞しちゃうのね。

吉田修一作品の中でも、文句なく面白く読ませる一作。
スポンサーサイト

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://cieloluna187.blog32.fc2.com/tb.php/177-6df209ba
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

フィメール・トラブル «  | BLOG TOP |  » ヴィスコンティ本を読んで―後記

プロフィール

ロレンツオ

Author:ロレンツオ
FC2ブログへようこそ!

追記・その他

リンク

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリ

過去ログ +

2017年 04月 【1件】
2017年 03月 【11件】
2017年 02月 【8件】
2017年 01月 【8件】
2016年 12月 【12件】
2016年 11月 【8件】
2016年 10月 【10件】
2016年 09月 【10件】
2016年 08月 【10件】
2016年 07月 【7件】
2016年 06月 【8件】
2016年 05月 【6件】
2016年 04月 【5件】
2016年 03月 【6件】
2016年 02月 【7件】
2016年 01月 【6件】
2015年 12月 【9件】
2015年 11月 【9件】
2015年 10月 【9件】
2015年 09月 【9件】
2015年 08月 【10件】
2015年 07月 【13件】
2015年 06月 【10件】
2015年 05月 【8件】
2015年 04月 【9件】
2015年 03月 【11件】
2015年 02月 【10件】
2015年 01月 【8件】
2014年 12月 【10件】
2014年 01月 【6件】
2013年 12月 【11件】
2013年 11月 【7件】
2013年 10月 【7件】
2013年 09月 【9件】
2013年 07月 【3件】
2013年 06月 【8件】
2013年 05月 【7件】
2013年 04月 【9件】
2013年 03月 【7件】
2013年 02月 【7件】
2013年 01月 【6件】
2012年 12月 【9件】
2012年 11月 【11件】
2012年 10月 【7件】
2012年 09月 【8件】
2012年 08月 【7件】
2012年 07月 【5件】
2012年 06月 【10件】
2012年 05月 【11件】
2012年 04月 【8件】
2012年 03月 【14件】
2012年 02月 【8件】
2012年 01月 【7件】
2011年 12月 【13件】
2011年 11月 【10件】
2011年 10月 【10件】
2011年 09月 【10件】
2011年 08月 【8件】
2011年 07月 【10件】
2011年 06月 【14件】
2011年 05月 【11件】
2011年 04月 【10件】
2011年 03月 【12件】
2011年 02月 【7件】
2011年 01月 【6件】
2010年 12月 【12件】
2010年 11月 【11件】
2010年 10月 【11件】
2010年 09月 【7件】
2010年 08月 【11件】
2010年 07月 【7件】
2010年 06月 【4件】
2010年 05月 【5件】
2010年 04月 【6件】
2010年 03月 【10件】
2010年 02月 【11件】
2010年 01月 【5件】
2009年 12月 【6件】
2009年 11月 【7件】
2009年 10月 【9件】
2009年 09月 【11件】
2009年 08月 【7件】
2009年 07月 【7件】
2009年 06月 【11件】
2009年 05月 【10件】
2009年 04月 【8件】
2009年 03月 【9件】
2009年 02月 【5件】
2008年 12月 【2件】
2008年 11月 【4件】
2008年 10月 【6件】
2008年 08月 【3件】
2008年 07月 【16件】
2008年 06月 【5件】
2008年 05月 【1件】
2008年 04月 【3件】
2008年 03月 【9件】
2008年 02月 【9件】
2008年 01月 【11件】
2007年 12月 【14件】
2007年 11月 【7件】
2007年 10月 【6件】
2007年 09月 【6件】
2007年 08月 【2件】
2007年 07月 【9件】
2007年 06月 【6件】
2007年 05月 【6件】
2007年 04月 【10件】
2007年 03月 【5件】
2007年 02月 【9件】
2007年 01月 【8件】
2006年 12月 【7件】
2006年 11月 【7件】
2006年 10月 【13件】
2006年 07月 【8件】
2006年 06月 【7件】

検索フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。