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回想 回転扉の三島由紀夫 - 2006.10.10 Tue

「回想 回転扉の三島由紀夫」 堂本正樹

回想 回転扉の三島由紀夫 (文春新書)回想 回転扉の三島由紀夫 (文春新書)
(2005/11)
堂本 正樹

商品詳細を見る



十代で三島由紀夫を知り、歌舞伎、能、そして「切腹趣味」を共有し、やがては映画『憂国』を演出する。
没後三十五年たっても色褪せぬ天才三島由紀夫への甘美なる鎮魂の書。
(「BOOK」データベースより)


予想以上に素晴らしい一冊。
三島ファンは必読の書でありましょう。
とにかく、えっ、こんなことまで言っていいの? と心配するほど、堂本正樹は率直で赤裸々だ。

これはある意味、堂本の<仮面の告白>なのだろうか。
特に三島に対する思いがあからさまにさらけ出されている。
だからこの本は読んでいておもしろい。
あれよあれよと読み終わってしまった。





第一章 「八歳違いの[兄貴]」
銀座ブランズウィック(日本初のゲイバー)での出会いからわくわくする。
正樹 16歳、三島 24歳。

以下、七章に分かれ構成されているのも読み易い。
どの章も貴重なエピソードがある。

第二章 「[兄弟ごっこ] から [切腹ごっこ] へ」
おおよそ三島の発案で、さまざまな設定があった。
満州皇帝王子と甘粕大尉、やくざと学習院の坊ちゃんなどなど・・・。
♂ と ♂ の世界だなあと思う。
他愛ない遊びが・・・。

――映画<憂国>撮影直前まで、そのつど趣向を替えて繰り返された。
<憂国>が済むと、[ごっこ] は止んだ。
私にとってはあくまで [ごっこ] だったものが、三島にとっては
いつの頃からか、”切腹シミュレーション”となっていた。


今これを知ると、ゾッっとするものがある。

が、何と言っても、第三章 「愛の処刑」と 第六章 「映画『憂国』」が白眉。

第三章 「愛の処刑」
堂本が原稿を写したことは、この前の <薔薇よ、永遠に> で書いたが、実はこの話にはまだ裏があった。

後日、<APOLLO> を読んだ堂本は、違和感を覚える。
自分が手写した原稿と、漢字と仮名、句読点など微妙に違う。
つまり、堂本以外にも心を許した ’友人’がいて、その人にも
「君だからたって頼む」と依頼。
やがて、堂本のこの推測は確信に至る。

私にしたら、ずいぶん屈辱的な扱いだなと思うのだが、堂本は赤裸々に語る。
又、この章は、<午後の曳航>のカットされた結末についても書かれている。
これは貴重な証言ではないか。

第六章 「映画『憂国』」

<愛の処刑>を書いた時三島は、
「今度は桐の函に入った、世間向けの純文学として書くよ」
と言った。それが、小説<憂国>として結晶する。

「桐の函に入った、世間向けの純文学」
さすが三島ねえ、うまいこと言うわあ。

通底するものは同じなのだから、そりゃあ似かよるのも已む無しだわねえ。

映画<憂国>の貴重な裏話てんこ盛り。
撮影での難関「人間の腸」。
作り物であってはならない。 結局、豚の腸を仕入れて来た、とか、使われたワグナーは、三島所有のフルトベングラーだとか。
映画のタイトルも三島の直筆だったのか。

堂本が語る三島とのあれこれは、じーさんの若き日のロマンスののろけ話を聞かされているようだ。
たとえば、文学座<サロメ>の初日に、自分にははしっこの席で、三島は若い天才歌人と二人で見に来ていてショックを受ける。
でもその夜遅くに三島から電話があって、喜んじゃってすぐ許しちゃった、とか。

やきもちやいたり、ひがんだり、すねたり、いちゃいちゃしたり、まるでオ○マの痴話ゲンカ。
それにしてもこの人って(しつこいけど)こんなに言っちゃっていいのぉ?
妻子だけでなく、今では孫もある身なのに。
ここでも明らかに、「三島の恋人」というのは、公然の秘密なのだ。(これをヒミツといっていいのかどうか?)
そんな体裁より、これを書き記すことが大義と考えたのだろうか。
というよりむしろ、みんなに知って欲しい! とも取れる。
妻・堂本朋子のインタビューを読むと、それら全てを許容する余裕さえ感じられる。
リッパな奥さんだ。

奥さんといえば、日頃顔の見えない三島夫人のエピソードが二つ出て来る。
映画<憂国>のラッシュを見る時に、夫人が珍しくやって来て、それまで機嫌が良かったのだが、見終わってから泣き出してしまう。
三島が懸命に宥め、なんとかその場は繕われた。
もう一つのエピソードも、場を白けさせるものだったが、私は女として、瑶子夫人には同情を禁じ得ない。
(<倅 三島由紀夫>/平岡梓 を読んだ時も、瑶子夫人には深く同情した)


伜・三島由紀夫 (文春文庫)伜・三島由紀夫 (文春文庫)
(1996/11)
平岡 梓

商品詳細を見る


小説<憂国>発表後、三島夫妻は世界一周旅行に出る。三島も夫らしいことをやっているでないの、と思った。
本書でも妻にかなり気を使ってるヘタレな部分が見えておもしろい。

堂本正樹の文章、私は好きだ。
ちょっとした描写がうまいのだ。
日本語を、言葉を、大切にしているかんじがする。
巻末の一文が又素晴らしく、何度読んでもこみ上げるものがある。
ああ、三島はもういないんだなあ。 でも、堂本の胸の中には今も生きているんだな。
しみじみとする。

今回、何がとっかかりだか、突然 「三島祭り」になってしまって、久しぶりに三島由紀夫に触れて、すごく楽しい数日でした。


doumoto.jpg
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