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十年後の きらきらひかる - 2008.02.18 Mon
「ケイトウの赤、やなぎの緑」
・・・十年後の 『きらきらひかる』
(2002/江國香織)
『きらきらひかる』 を再読して、「その後の 『きらきらひかる』」 があったことを思い出した。
当時、某所で この ”後日談” のことを知ったのだが、そこで
「作品のファンは読まない方がいいかも」
というひとことがあった。
「読まない方がいいかも」
とは どういうことなのだろうか?
何を以って、「読まない方がいい」 話になるのだろうか?
そう言われると、ガゼン 読みたくなるじゃーあーりませんか。
果たして――
以下 ネタバレを含みますので、ご注意ください。
ちなみ(27) という女の一人称で語られる。
ちなみの弟は、ゲイだという。
ではこの弟が 紺くん なのか? と思わせるが、
いや、歳が合わないな、
などと、探りながら読むことになる。
睦月たちとこの女の関係はなかなか見えない。
ちなみは、郎(40)とつき合っている。
――郎を私に紹介したのはあんたなんだから、
責任の一端はあんたにもあるんだからね
――責任って何のさ
――私の人生の混乱のよ
――人生なんて誰のも混乱してるんだぜ
いつだって
この話の主人公はちなみであり、睦月たちは脇役として登場することになる。
この構成はおもしろいと思った。
睦月と笑子は、十年後も ”相変わらず” で、庭のある古い日本家屋に住み、「サロン」なるものを開き、睦月の仲間が出入りしている。
紺は、大学卒業後いくつかの会社を、上司との衝突によりクビになり、今は西片町のバーで働いている。
(この時点で、すでに三十くらいであろう)
紺は、占部クン(これがちなみの弟)と恋に落ち、睦月と別れたのだった。
が、あろうことか、ある日、紺は新しい男をあの家に連れて来た。
睦月は家を飛び出し、二日帰って来ず、笑子は紺と新しい男を殴って泣いた。
「絶交」を言い渡しても、紺は男を家に連れて来た。
――二人でしっぽりやっていればいいだろう。
どうしてわざわざ みせびらかしに来るんだ。
という 郎の問いに、
――ほっとけよ。
俺と睦月と笑子ちゃんの、お前に何がわかるんだよ。
腹をくくった紺のことばに、傍には理解しがたい 三人の深い関係性が見える。
結局、この話のキモは、このひとことだったんだな。
このひとことの為に、この話はあるのだ。
さて、一体 「受け入れ難い結末」 というのはこの世にあるのだろうか?
十年後も、いつまでも、三人は幸せに暮らしましたとさ、
作品のファンというのは、そういう話を望んでいたのだろうか。
少なくとも私は、少し変わった 「その後」としておもしろく読んだ。
しかし、この、今回の主人公 ちなみと郎の二人も危うい。
先のことはわからない、と思わせる二人なのであった。
結局、この話の言いたいことは、
「先のことはわからない。確かなものなんてありませんよ」
という事なのかも知れない。
そうそう、 柿井と樫部 という名前が出て来る。
あの二人はどうなったのだろうか。
気になる。 すごく気になる。
<ナルシス型美青年ホモ> の樫部先生も、五十前か。
なんだか、全然歳を取らない ドリアン・グレイみたいな人なんじゃないかと勝手に妄想。
この話は、新潮ムック <江國香織ヴァラエティ> の中に収録された 800枚書き下ろし小説である。
この本って、何なのだ?
明星かなにかの、アイドルのファンブックみたいだ。
「私の好きなものたち」なんていう、お気に入りのものを並べたグラビア写真のコーナーがあったりして、ファンの人にはたまらない本なんだろうが、そうでない人には・・・
・・・
フシギな本だった。
・・・十年後の 『きらきらひかる』
(2002/江國香織)
![]() | 新潮ムック 江國香織ヴァラエティ (2002/03/29) 江國 香織 商品詳細を見る |
『きらきらひかる』 を再読して、「その後の 『きらきらひかる』」 があったことを思い出した。
当時、某所で この ”後日談” のことを知ったのだが、そこで
「作品のファンは読まない方がいいかも」
というひとことがあった。
「読まない方がいいかも」
とは どういうことなのだろうか?
何を以って、「読まない方がいい」 話になるのだろうか?
そう言われると、ガゼン 読みたくなるじゃーあーりませんか。
果たして――
以下 ネタバレを含みますので、ご注意ください。
ちなみ(27) という女の一人称で語られる。
ちなみの弟は、ゲイだという。
ではこの弟が 紺くん なのか? と思わせるが、
いや、歳が合わないな、
などと、探りながら読むことになる。
睦月たちとこの女の関係はなかなか見えない。
ちなみは、郎(40)とつき合っている。
――郎を私に紹介したのはあんたなんだから、
責任の一端はあんたにもあるんだからね
――責任って何のさ
――私の人生の混乱のよ
――人生なんて誰のも混乱してるんだぜ
いつだって
この話の主人公はちなみであり、睦月たちは脇役として登場することになる。
この構成はおもしろいと思った。
睦月と笑子は、十年後も ”相変わらず” で、庭のある古い日本家屋に住み、「サロン」なるものを開き、睦月の仲間が出入りしている。
紺は、大学卒業後いくつかの会社を、上司との衝突によりクビになり、今は西片町のバーで働いている。
(この時点で、すでに三十くらいであろう)
紺は、占部クン(これがちなみの弟)と恋に落ち、睦月と別れたのだった。
が、あろうことか、ある日、紺は新しい男をあの家に連れて来た。
睦月は家を飛び出し、二日帰って来ず、笑子は紺と新しい男を殴って泣いた。
「絶交」を言い渡しても、紺は男を家に連れて来た。
――二人でしっぽりやっていればいいだろう。
どうしてわざわざ みせびらかしに来るんだ。
という 郎の問いに、
――ほっとけよ。
俺と睦月と笑子ちゃんの、お前に何がわかるんだよ。
腹をくくった紺のことばに、傍には理解しがたい 三人の深い関係性が見える。
結局、この話のキモは、このひとことだったんだな。
このひとことの為に、この話はあるのだ。
さて、一体 「受け入れ難い結末」 というのはこの世にあるのだろうか?
十年後も、いつまでも、三人は幸せに暮らしましたとさ、
作品のファンというのは、そういう話を望んでいたのだろうか。
少なくとも私は、少し変わった 「その後」としておもしろく読んだ。
しかし、この、今回の主人公 ちなみと郎の二人も危うい。
先のことはわからない、と思わせる二人なのであった。
結局、この話の言いたいことは、
「先のことはわからない。確かなものなんてありませんよ」
という事なのかも知れない。
そうそう、 柿井と樫部 という名前が出て来る。
あの二人はどうなったのだろうか。
気になる。 すごく気になる。
<ナルシス型美青年ホモ> の樫部先生も、五十前か。
なんだか、全然歳を取らない ドリアン・グレイみたいな人なんじゃないかと勝手に妄想。
この話は、新潮ムック <江國香織ヴァラエティ> の中に収録された 800枚書き下ろし小説である。
この本って、何なのだ?
明星かなにかの、アイドルのファンブックみたいだ。
「私の好きなものたち」なんていう、お気に入りのものを並べたグラビア写真のコーナーがあったりして、ファンの人にはたまらない本なんだろうが、そうでない人には・・・
・・・
フシギな本だった。
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