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アメリカン・ビューティー - 2007.03.14 Wed

「アメリカン・ビューティー」 (1999/AMERICAN BEAUTY)

アメリカン・ビューティー アメリカン・ビューティー
ケビン・スペイシー (2006/06/23)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
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リストラされたダメ親父が娘の親友に一目惚れしてしまう。
監督はイギリス出身のサム・メンディス。 シニカルなユーモアが得意なイギリス人らしく、アメリカンファミリーのダークサイドをブラックユーモアたっぷりに描いている。おかしいけど悲しい、その微妙なサジ加減が絶妙だ。
第72回アカデミー賞で、作品、監督、脚本、主演男優、撮影の主要5部門を受賞。

7年前ロードショウ公開時観たものだが、NHK・BS「アカデミー賞特集」でリピート鑑賞。



― 僕はレスター・バーナム。   
42歳。あと一年たらずで死ぬことになっている。

という主人公の独白で始まる。
え、結末をバラしちゃうの?
でも、どうして死ぬの?
ほんとに死ぬのかな?
これだけで「ツカミ」はok!(脚本が素晴しい!)

大好きな作品だ。
とにかく ブラックなコメディ である。 おかしい!!

作品自体素晴しいが、クイア映画として見ると、又違う見方ができる。

その場合の主人公は、隣家の父親 フィッツ大佐である。
厳格な軍人の彼は、変わり者の一人息子が気に入らない。 時にスパルタ式に鍛えようとする。
そして、超ホモフォビア である。 近所に住むゲイのカップルが気に入らない。

cooper.jpg
フィッツ大佐

今読んでいる、海野弘先生「ホモセクシュアルの世界史」にこういう一文がある。

―― しばしば、同性愛を異常なほど憎む男こそ、同性愛的であるといったことが起こる。

これこそ、そのままこの父親にあてはまる言葉である。
七年前の私は、それが 全くわからなかった。
若かったんだなあ・・・(遠い目)
今だったら、ははあ~ん、と、すぐピンとくるけど(笑)
今となってはこの父親の背景も想像できる。
彼もまた、封建的な父親に厳格に育てられたに違いない。
そして、自分の ”感情” を抑制して生きてきたのだ。
アメリカン・マチズモの悲劇だ。

その辺りがわからないと、この映画は理解しづらい。
わかっていないと、このあとフィッツ大佐が取る行動があまりに唐突で、理解できない、納得できないことになる。
七年前、劇場から出て来て、友人と、
「あれはどういうこと??」「じゃあ、あれは?」
と、二人して首をかしげながら、あーだこーだと言ったのを覚えている。
しまいには、「で、犯人は誰だったの?」なあんて言ってる始末。サイテー!
それくらいわかりづらかった。

今、フィッツ大佐を中心にして見直してみると、この作品は違う印象を受ける。
当初はサイコでストーカーと思われた一人息子は、実は思慮深い聡明な青年で、父親の「心の葛藤」を知っていたのである。 なので、父親の鉄拳も甘んじて受けていたのだ。
横暴で厳格な父親を、「憎いでしょう?」と聞かれたとき、
「憎くなんかないよ」と彼は答える。
七年前は、どうしてぇ?? と思ったけど、今ならわかる。
そして、不幸な妻が、なぜ終始生気のない悲しい顔をしているのかも。
今見ると全て合点が行く。全てが明解になる。

この作品の一番笑えるシーンは、なんといっても、隣家の青年とレスターのからみで、父親が、自分の息子がレスターの下半身に”奉仕”しているとカン違いするくだり。
もう爆笑!のシーンなのだが、後にこのことが悲劇の引き金となる。 一転、それって笑い事じゃないよっ!ってことになる。
このカン違いも、それまでのレスターと息子の仲を怪しむいくつかの誤解も、全てフィッツ大佐の邪なフィルターで見るからであって、他の人が見たら、どうということもないことなのだ。
すなわち、この話が悲劇に向かうのは、フィッツ大佐が ”クローゼット・ゲイ”(=隠れホモ であることが要因なのだ。
不幸なのは、自分自身を ”認める” ことができない、ということである。

このフィッツ大佐を演じたクリス・クーパー。 7年前はな~んにも考えずに見ていたけど、今彼の「心の闇」がわかって見てみると、非常に興味深い。時に戸惑い、時に激昂し、ひとつひとつの演技が複雑で、奥深い。 彼はこの後、「アダプテーション」(2002)で、アカデミー助演男優賞を取る。
Chris_Cooper_3889c.jpg
ステキおやじ☆

さて、本来の主人公 レスター・バーナムである。 娘のともだち、アンジェラに一目惚れしてから世界が変わる。 会社を辞め、たるんだ体を鍛え直し、彼女を抱くことを夢想する。(この妄想が笑える!)
american_beauty_2.jpg
妄想中!

この辺りは、先日見た「ラブ&デス」との共通項だ。 ラブを知り、人生が「死の世界」から「生の世界」へと変化する。
しかし、「ラブ&デス」と違い、これは妄想が現実になるのである!
このシーンはとてもロマンティックだ。
そして、レスターはどうするか――

最後は再びレスターの独白で終わる。
―― 殺されて怒るべきなのに、怒る気になれない。
    ・・・  
    僕の愚かな人生に感謝を。
     たわごとに聞こえるだろうね。     
    でも、いつか、     
    君にもわかる――

わかるよ。今の私ならなんとなく・・・。
せつなくて、せつなくて、たまらないラストだった。
この作品って、ある程度歳を取らないと、本当の良さはわからないのかもしれない。
そう考えると、歳を取ることも幸せなのかも!

依然ゲイ疑惑の消えないケビン・スペイシーがサイコーにいろっぽい。 秀作である。

終わってみたら、この中で唯一幸せなのは、ゲイのカップルだけ ではないか?? (ちなみに 税理士&麻酔医!ちょっと萌えシチュエーションかも・・・アホッ)  1spacey.jpg
ゲイのカップルじゃありませんよ!
ケヴィンとジェレ様の2ショット発見!なぜ?

1american_beauty_0979.jpg
【アメリカン・ビューティ】 (バラの一品種の名前だがこの映画では比喩的に使われている。 今のアメリカにとっての「美」とはなんなのだろう?)

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