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【湖の見知らぬ男】考 ギロディ監督来日上映 - 2017.04.10 Mon

【湖の見知らぬ男】考 ギロディ監督来日上映
(2013/France/L’inconnu du lac/Stranger by the lake)


alainlac05.jpg


【第20回カイエ・デュ・シネマ週間アラン・ギロディ特集】その2

アラン・ギロディ監督の名を世に知らしめた一作。
レズビアン&ゲイ映画祭で初めて見た時はあまりの衝撃で、ついて行くのがいっぱいいっぱい。
この日は二度目ということもあり、冷静に見ました。

今回のこの記事は、上映後の監督の話も含め本編の内容に関わることなので、本編未見の方ご注意ください。ネタバレありです。(ストーリーを知って見てもこの作品のおもしろさは変わらないと思うけろ)
ストーリーに関しては、過去記事「湖の見知らぬ男」ご参照。


この作品を映画全体として見てみる。
おそろしく閉じた世界(監督は共同体の中の”ミクロコスモス”と言った)。
舞台は湖のほとりだけ。
少し開けた場所が駐車スペースになっていて、そこに主人公フランクの車が入って来る。
そこから一日が始まる。
このシーンが何度も繰り返され、そのことによって観客は、ああ、また別の一日の出来事なんだな、とわかる。
この反復表現が映画にいいリズムを与える。

alainlac02.jpg


また、”ピーピング・トム”のような男の存在。
他人のセックスを覗いては手コキしている男。
ハッテン場の風景になんとも言えないおかしさを生む。
この男も反復して出て来る。
running gag と言うべきか、出て来るだけで笑っちゃう。
こういうキャラクターの使い方も絶妙。

alainlac03.jpg


今回気づいたんだけど、ギロディ監督もカメオ出演していたのね。
フランクの友人(いつもほっぺにチュッとあいさつする)のある日の連れ。監督ももちろんゼンラw

上映終了後のトークショーは盛り上がった。
前日に引き続き、「カイエ・デュ・シネマ」副編集長ジャン=フィリップ・テセ氏と進行は矢田部吉彦氏(東京国際映画祭プログラムディレクター)。

alainlac01.jpg


監督からリアルな性描写について:
――今や性行為の場面は「ポルノグラフィー」の中に押しやられている。そこから外に出したかった。セックスは愛の一部。

これに関連した質問が出た。
――「アデル」の主演女優が後日「セックスシーンの撮影はいやだった」と言っていたが、今回俳優たちとはどのように撮影に臨んだのか?

――今回の撮影にあたり、事前に俳優たちと十分話し合った。
彼らはもともとこれがどういう映画なのかというのを承知して来ているのだから問題はないと了解していた。
ただ彼らに、どこまでは出来る、ここからは出来ない、ということは言ってくれと話した。
実際のセックスシーンはスタントを使った。
撮影後も彼らにショットを見せて、これは使ってほしくない、これはOK!と確認した。
私は俳優たちに無理強いして撮影したりしませんよ。


この時の監督の話で、この映画のセックスシーンは本番だったのだと初めてわかった。

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アデル・エグザルコプロス
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2014-11-26



矢田部さんからの質問:
――全編にわたる性器の露出に驚いたが、本国ではどういう反応だったのか?

テセさんが答えた。
――フランスでもこんな(露出過多の)映画はなかなかない。
本国でも驚きを持って受け止められた。
特にうちの両親が見たらびっくりするだろう。


そして会場からこんな意見が出た。
――ホモセクシュアルの性行為は不毛。
こどもが生まれなければ、この先フランスはどうなってしまうのか

会場内はしーーんとなってしまいました(汗)

これに対して監督は、
――私はその考えに反対だ。男女間のセックスでも毎回こどもが出来るわけではない。
生殖の為にセックスがあるものではない。
愛し合う二人が共に時間を過ごし愛を交わす行為が不毛とは思わない。

この件に関しては、その後SNS上(一部)でも話題になりました。
発言者は最初に、ホモセクシュアルには抵抗がある(受け入れられない)と発言。
それならなぜ見に来たのでしょう?
この作品がカンヌの受賞作でうっかり来てしまったのか。
にしても、それを声に出して監督に言う必要があるのか?

監督も言ったように、この作品はある共同体のミクロコスモスの世界を描いたもので、この映画のおかげでフランス全体がホモセクシュアルになるわけではなく、フランスの出生率を心配する必要はないですよ~
矢田部さんからも、「フランスの出生率は上がってますよ」とツッコミあり。
たしかにそういった考えを持つ人がいるということを再認識した。



重要なキャラクター、アンリについての質問もあった。
――終盤のアンリの取った行動の意味は?
フランクを救う為? 己の孤独に堪えかねて?


――彼の行動の意味を自分でもどういう言葉で説明したらいいのか。
図らずもある批評家がこう評した。

「ロマンチックな偉大なる行為」
まさにそれだと思った。

また、「キャロル」や「ムーンライト」などLGBTを扱っをた作品が高い評価を得ていることについて:
――メインストリームになっているとは思わない。
LGBTというジャンル分けは意味がない。
それらの作品は、同性愛という枠を越えて作品自体が優れているから評価されているのでは?


尚、監督は「キャロル」も「ムーンライト」も観ていないということです。
この先も監督は観ない気がするよw

――私がホモセクシュアルの映画を作るのは、自分がそうだから、よくわかっている世界を描いているにすぎないということ。

====
この日の収穫のひとつ、ずーーーっと気になっていたエンディングについて。
過去記事にも書いたように、この映画にはもうひとつ別バージョンのエンディングがあったのだ。

――脚本の段階から二つのエンディングを用意していた。
実際に二つのバージョンを撮影したが、早い段階で私の中ではどちらにするか決まっていた。
つまりそれは今のエンディングの方だということ。
もう一つの方は、考えてみたら「ridiculous」(ばかけてる)だ。

――エンディングでフランクが恋人の名前を呼ぶのは、死の恐怖よりも欲望や孤独への恐怖の方が強かったということ。


日がどんどん暮れていき、あたりは暗くなっていく。
なるほど、フランクを追い詰めて行く闇が説得力を持って迫って来るのだった。
→この作品はほぼ全編を自然光で撮影。夜間のシーンは毎日太陽が沈む直前の30分間のみで撮影した。
いやあ、謎のエンディング問題が解決してスッキリしました~~
充実した時間でありました。満足。
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